女性の更年期障害については広く認知されてきました。もちろんまだまだ十分ではありません。しかし、より認知度が低いのは男性の更年期障害でしょう。
「疲れがとれない」「意欲がわかない」などの症状があらわれてきたら更年期障害かもしれません。どのようなメカニズムで起こるのでしょうか。男性の更年期障害と、薄毛の関係性をご説明します。
男性の更年期障害とは
男性の更年期障害は、男性ホルモンのテストステロンの低下が原因です。更年期障害が起こる時期は個人差が大きいうえに、更年期障害による体と心の不調が起こっても、「年のせい」「ただの疲れ」と見逃されがちです。しかし、更年期障害は、男性ホルモンの分泌の低下が始まる40歳代以降では、どの年代でも起こる可能性があります。また、最近の研究では、生活習慣や社会との関わりが影響することもわかってきています。
男性ホルモンのテストステロンには、主に3つの働きがあります。
- 筋肉や骨を強くする、そして社会活動を支える。
- 生殖機能、つまり男性の性機能を保つ。
- 物事を判断する、あるいは物事を理解する、広い意味で認知力、認知機能を高める、維持するなどの働き。
そのため、テストステロンの分泌が低下すると、体と心にさまざまな影響が現れます。
出典 https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_439.html#theme1
男性更年期障害が起こる仕組み
テストステロンの分泌が減少すると起きます。テストステロンは筋肉や骨格、髭など男らしさに働きかけます。また脳内物質のドーパミンを生成させる特徴も持っています。男らしさや社会生活への意欲を維持する重要な鍵となる男性ホルモンです。
この分泌が減少すると男性更年期障害の症状が現われやすくなります。
男性の更年期障害と薄毛の関係性
男性ホルモンのテストステロンが減少するのに、なぜ男性更年期障害で薄毛が進行してしまうのでしょうか。実はテストステロンと薄毛は厳密にはあまり関係ないと言われています。関係するのは、テストステロンと酵素である5αリダクターゼとの結びつきやすさ等です。これが結びつくとジヒドロテストステロンに変化し、それが毛乳頭細胞の受容体と結びつき、発毛抑制成分TGF-β1が毛乳頭に作用しヘアサイクルを乱します。つまり薄毛はテストステロンだけの問題ではないのです。
男性の更年期障害は、精神をかなり不安定にしてしまう要素を多数持っています。社会生活で思うようにコンデションや精神状態などを操つれないことのストレスが抜け毛原因となる可能性などを持っています。
更年期障害セルフチェック
更年期障害の可能性があるかどうか、まずは自分でチェックしてみましょう。
①性欲が低下した
②元気がない
③体力が低下した
④身長が低くなった
⑤毎日の楽しみが少ない
⑥もの悲しい・怒りっぽい
⑦勃起力が弱くなった
⑧運動能力が低下した
⑨夕食後にうたた寝をする
⑩仕事がうまくいかない
10項目のうち、1と7の両方に該当、または全体のうち3つ以上の項目に該当する場合は、更年期障害の可能性があると考えられます。
出典 https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_439.html#theme1
自分自身で更年期障害に気づくのはなかなか難しいです。客観的なチェックシートを参考に判断するか、医療機関に相談することが早期発見につながります。

まとめ
テストステロンには血液の流れをよくする働きもあります。減少を放っておくと、動脈硬化が進行し、心筋梗塞、狭心症、脳卒中といった命に関わる病気のリスクも高まります。
更年期障害で薄毛が悪化することもあります。抜け毛が重大な病気のサインであることもあると思われます。
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毛髪 | 投稿日:2022年08月31日
「カタカタ…」薄暗いオフィスでキーボードの打鍵音だけが響いている。洋一は同僚たちが帰宅して既に不在のオフィス内で、一人黙々と資料作成にあたっている。明日、大口の取引先へのプレゼンがあり、そのための資料を何としても作り終えなければならないのだ。
「あと少しなんだけどな…」これがいつしか洋一の口癖になっていた。昨日も深夜帰り。確か同じことを口にしながら作業をしていたはずだ。一日ごとに考えが変わり、修正したくなるという洋一の悪い癖がここにも出ていた。
考えてみれば、もうここ数日満足に寝ていない。今日も朝帰りは確定だ。最近、抜け毛が増えてきた気もするが、それを気にしている余裕は今の洋一にはない。
高層ビルのオフィス街は一つ、また一つと明かりが消えていった―。
現代では多くの人がこの物語の主人公のように、睡眠不足に悩まされています。新生児の育児中などの一時的なものを除けば、ほとんどの原因が過労によるものです。
睡眠不足は薄毛とも関係あるのでしょうか。今回はこちらについてご説明します。
最適な睡眠時間とは
実際に睡眠時間を調べた数々の論文をまとめたデータによると、夜間の睡眠時間は10歳までは8~9時間、15歳で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間と、加齢とともに必要な睡眠時間が少なくなるということが報告されています。よく加齢によって昔ほど長時間眠れなくなったという悩みを聞きますが、実は加齢に伴い必要とする睡眠時間が少なくなっているというのが事実のようです。成人の場合、個人差はあるものの6~7時間前後の睡眠時間が目安です。
また、高齢者では若い頃にくらべて早寝早起きになるようです。これは体内時計の加齢変化によるもので、睡眠だけではなく、血圧・体温・ホルモン分泌など睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しになります。
さらに、加齢とともに睡眠も浅くなるようです。睡眠脳波を調べてみると、深いノンレム睡眠が減って浅いノンレム睡眠が増えるようになります。そのため尿意やちょっとした物音などでも何度も目が覚めてしまうようになります。よく若いころの睡眠に比べてよく眠れなくなったということを経験するかもしれませんが、実は加齢に伴い体に必要な睡眠が変化してきているのです。
出典 https://www.otsuka.co.jp/suimin/column02.html
6-7時間、満足に眠れていない方は睡眠不足と言えます。
薄毛と睡眠不足
睡眠不足と薄毛は密接に関係しています。
睡眠不足になると、成長ホルモンが十分に分泌されません。つまり健康な髪が育たなくなります。 また、毛母細胞の細胞分裂活動も十分に行えなくなり、頭皮環境が悪化して抜け毛や薄毛の状態となってしまうのです。
もちろん睡眠不足の方が必ず薄毛になるという訳ではありません。あくまで薄毛の要因になりうるということです。
良質な睡眠をとるために
最も重要なのは副交感神経を優位にし、睡眠に適した状態を整えることです。具体的には、体に刺激となるような行為は睡眠前には控えた方がいいです。スマホも寝る2時間前には見ないようにするのが好ましいです。
入浴も睡眠2時間前には終えるようにしましょう。人間は、体内深部の温度が低下すると眠気が起こるようになっています。入浴前後の体温の変化で自然な眠気を誘発するためにも、入浴から就寝まで2時間ほど時間を空けるのが理想です。

まとめ
睡眠不足は薄毛になるかということについてご説明しました。
睡眠不足が必ず薄毛につながるわけではありませんが、睡眠不足が原因で薄毛が進行することもゼロではないため、気を付けるようにしましょう。
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毛髪 | 投稿日:2022年08月25日
白髪が増えたという悩みの人と、薄毛で悩んでいるという人はそれぞれ別の人である印象があります。
よく白髪の人は薄毛にならないという俗説もありますし、逆に白髪も薄毛も原因は同じという話もたまに聞きます。
このように白髪の人は薄毛に、薄毛の人は白髪になることはないのでしょうか。
それぞれの原因を分析し、ご説明いたします。
両方の原因は似ている
まず白髪が多い人は薄毛にならないというのは誤りです。薄毛と白髪の原因は似て非なるものというほどではないので、白髪が生えていたとしても薄毛になることはあります。
ただ、強調したいのが、薄毛と白髪の原因は確かに似ていますが、まったく同じではないということです。従って、白髪があることで薄毛リスクが増すことはありますが、白髪の人が誰でも薄毛になるということではないのです。これは逆も然りです。
白髪は頭の血行が悪くなり、栄養が行き届いていない状態です。色素細胞が正常に働かないため、起こります。また老化で、色素細胞のみが働かなくなり、白髪が生えるということもあります。
薄毛はAGAの場合、テストステロンと5αリダクターゼが結びつき、悪玉男性ホルモンになることなどが関係しています。このように、薄毛と白髪の原因はそれぞれ違うものであることがわかります。しかし、似ている部分もあるのです。
老化による色素細胞の働きを除くと、白髪発生のメカニズムと薄毛は共通している部分もあるといえます。栄養不足や睡眠不足、紫外線の影響も促進に否定できないことはどちらも同じです。
白髪の人も将来的に薄毛になってしまう可能性などを否定できないということです。髪の毛が残っていれば、白髪になる可能性もあります。
白髪の原因について
白髪の原因を詳しく見てみましょう。
白髪とはメラニンが抜けてしまった髪のことです。聞いたことがある人も多いと思われますが、頭皮のメラニン細胞であるメラノサイトでメラニンは作られます。このメラノサイトが何らかの原因でメラニン色素を作れなくなる、それによって白髪になるのです。
ちなみに髪の色はメラニン色素により決まります。種類や分量の違いにより髪の色が決まります。ユーメラニンの分量が多いと黒髪になります。
薄毛の原因
薄毛(AGA)の原因は白髪の原因とは大きく異なります。薄毛は先ほども説明しましたが、より詳しくご説明します。善玉男性ホルモンと呼ばれているテストステロンと、5αリダクターゼという酵素が結びつきジヒドロテストステロン(DHT)というホルモンに変換されます。
これは胎児期における男性外生殖器の形成で、男の赤ちゃんが母親の胎内で成長する過程で必要とされていますが、思春期以降は男性にとって好ましくない働きをすることで知られています。具体的にご説明すると、AGAやニキビ、前立腺肥大などの原因でもあり、悪玉の男性ホルモンと言われています。
この悪玉男性ホルモンが、毛乳頭細胞の受容体と結合。すると抜け毛の原因になるTGF-βという脱毛因子を生み出すのです。TGF-βは、毛乳頭細胞や毛母細胞が分化するのを抑制するので、髪の成長を妨げます。結果としてヘアサイクルを乱し、抜け毛につながります。
ただ、これはあくまで男性の約3割とされているAGAの方の場合です。薄毛の原因はさらに数多くあります。例えば食生活が原因で血行不良となり、毛細血管までうまく栄養が届かなくなることで薄毛となる人もいます。
血行不良は、直接的ではないものの白髪の発生とまったく無関係とも言えないのです。

まとめ
白髪の原因、薄毛の原因をご説明しました。
両者が全くの無関係ではないということがわかったと思います。悪化を防ぐため生活習慣の改善に努めるようにしましょう。
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毛髪 | 投稿日:2022年08月01日