産後脱毛症

産後脱毛症とは? 

女性に特有の脱毛症。別名、分娩後脱毛症とも言いいます。
出産を終えて2~3ヶ月後の時期を迎えた女性は、「ホルモンバランス」と「毛髪サイクル」、「激変する生活」の3つが関係し、急に抜け毛が増加してしまうことがあります。あくまでも一時的な症状であり、半年以上経過すると自然に収まっていきます。

妊娠中は女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)が増えることで、髪の毛が抜けにくくなるとされています。実際、妊娠中は髪の毛や体毛が増えて毛深くなったという妊婦さんもいます。
しかし、赤ちゃんを産むと女性ホルモンが急激に減少し、妊娠中に抜けなかった髪が一気に抜けてしまうのです。
また女性ホルモン以外にも、慣れない子育てへのストレスや、赤ちゃんのお世話による睡眠不足、不規則な食事なども産後の抜け毛の原因になりえます。なかには、抜け毛によるストレスでさらに抜け毛が進む…という悪循環に陥ってしまう人もいるようです。
髪の毛は、基本的には次のようなサイクルで生える、抜けるを繰り返します。

● 成長期(髪の毛が生える時期):3〜7年間
● 退行期(髪の毛が抜ける時期):2~3週間
● 休止期(髪の毛が生えるまでの休みの時期):約3ヶ月間

産後の抜け毛の場合、多くの髪の毛が一気に退行期を迎えて抜けてしまい、休止期に入ると考えられます。一時的に髪が少なく、薄くなってしまうのはそのせいです。

その後、3ヶ月ほど経つと休止期が終わって再び成長期に入り、髪がだんだんと生え始めて量も改善されていきます。

しかし産後の抜け毛の原因である女性ホルモンの分泌量や生活習慣には個人差があるため、抜け毛が起きる期間がいつからいつまでなのかという点については、人によって異なります。

一般的には、産後すぐから抜け毛が見られ、産後6ヶ月頃、遅くとも産後1年で戻ることが多いようです。
産後の抜け毛は、生理的なことだと考えれば特に心配する必要はありません。ただ、あまり抜け毛を放っておいても、ストレスが溜まってしまいますよね。そこで、少しでも早く回復したいという人は、次のような抜け毛対策を心がけましょう。

● 規則正しい生活をしてリズムを整える
● 質のよい睡眠を多く取る
● ストレスを溜めない
● ストレッチなど、適度な運動をする

抜け毛予防に効果的な食材を栄養素別にご紹介します。忙しいかもしれませんが、これらをちょっと意識して食べることで、抜け毛の量を減らしたり、予防したりできるかもしれませんよ。

タンパク質
髪の毛の99%はタンパク質で構成されています。そのため、タンパク質が多く含まれている大豆や肉、卵などを積極的に摂りましょう。

大豆イソフラボン
大豆に含まれているイソフラボンは女性ホルモンに似た働きをし、髪の毛の成長を促すと考えられています。

大豆イソフラボンの1日の摂取目安量の上限は、70~75mgで、納豆1パック分ほどです。いつもの朝食に納豆を1つ追加するだけで手軽に摂取できますよ。

ビタミンB2
豚肉やレバー、サンマなどに多く含まれているビタミンB2は、新陳代謝を活発にし、健康な髪や皮膚などを作ったり、成長を促したりする栄養素です。ビタミンB2は熱に強い性質があるので、炒め物や煮物などで摂取するのがいいですね。

ミネラル(亜鉛、鉄)
昔からわかめやひじきは髪にいいと言われますが、これらにはミネラルが豊富に含まれています。また貝類には亜鉛が、ホウレン草やレバーなどには鉄が含まれており、健康的な髪を育ててくれる働きがあるとされています。

産後の抜け毛にショックを受けるのは仕方のないことですが、楽しく育児をするためにも、あまり考えすぎず、自然に改善されるまで待つことが大切です。

慢性休止期脱毛症(CTE)

慢性休止期脱毛症(CTE)とは? 

女性に多くみられる脱毛症。女性の薄毛の悩みの過半数に達するといわれる。びまん性脱毛症の一種に分類されることがある。
男性型脱毛症(AGA)と比較されることが近年増えている。

何らかの原因で頭髪の休止期が長期化してしまい、頭髪のヴォリュームが軽減していくという特徴がある。その原因についてはさまざまで、ストレスをはじめとした精神的な影響もあれば、ホルモンバランスの乱れによるケースもある。体調を崩したことがきっかけになるケースもあると考えられている。

男性型脱毛症(AGA)等と比べると研究はそれほど進んでいない。はっきりとした治療法はまだ確立されていないが、専門医の診察を受けた上で投薬や手術を用いた治療法を早めに受けることが求められる。

びまん性脱毛症

いくつかのタイプがある女性の薄毛の中で、多く見られる症例が「びまん性脱毛症」です。

びまん…一面に広がる
脱毛症…生えていた毛が生えなくなった状態

名前のとおり、頭髪全体が均等にすこしずつ薄くなっていくのが特徴です。
男性のようにはっきりしたオデコ・頭頂の“ハゲ”にはなりにくいですが、
じわじわと見た目が老けたような印象になります。女性には深刻な悩みです。
40代以上に多いといわれていますが、最近では20代30代など若い世代も病院へ相談にいらっしゃいます。

びまん性脱毛症になる理由

びまん性脱毛症だけでなく、脱毛症の大きな原因は「ヘアサイクル」の乱れにあります。

【成長期】…新しい毛が生え、太く成長していく時期
【退行期】…毛の成長が弱まっていく時期
【休止期】…毛の成長が止まり、抜ける時期

健康なヘアサイクル         乱れたヘアサイクル
●長くてかたい髪の毛が抜ける    ×短くてやわらかい髪の毛が抜ける
一日平均100本前後が抜ける     抜ける本数が目立って多い

なにかのきっかけでこの「ヘアサイクル」が乱れ【成長期】が短くなると、毛が育たず細くなったり、育ちきる前に抜けたりします。これが脱毛症(薄毛)です。

「びまん性脱毛症」につながるきっかけには、以下のようなものがあるといわれています。

女性ホルモンの減少

女性らしさをつくる女性ホルモンの一つ「エストロゲン」は、毛の成長にも大きく関わっています。加齢でエストロゲンが減ったり生活習慣からホルモンバランスが崩れたりすると、毛の【成長期】が短くなり脱毛しやすくなります。

強いストレス

ヒトの体は、強いストレスを感じ自律神経が乱れると血流が悪くなります。そうすると頭皮に栄養がいき届かず、毛がしっかり成長できなくなるのです。この自律神経の乱れは、ホルモンバランスにも影響します。また、ストレスがかかると、髪の発育にかかわる栄養素「亜鉛」がたくさん消費されると言われています。強いストレスは、髪に多方面からダメージを与えてしまうのです

偏った食事・ムリなダイエット

髪は、命にかかわる臓器などとくらべると後回しにされがちな部分。そのため栄養不足になりやすいとされています。偏った食事・ムリなダイエットをすると、毛がじゅうぶん成長できません。また栄養の偏りは、髪の発育をジャマするだけでなく体全体のホルモンバランスも崩してしまいます。

誤ったヘアケアによる頭皮環境の悪化

髪の洗い方によるトラブル
・数日に1度しか洗わない
・1日に何回も洗う
・メーカーの推奨を過度に超えた量のシャンプーを使う
・すすぎが雑(コンディショナー・リンスが頭皮に残る)

洗浄剤によるトラブル
・乾燥気味の頭皮であるにも関わらず、強い洗浄力のシャンプー
(石油系の高級アルコールシャンプーなど)を使い、頭皮の皮脂を落としすぎる
カラーリング・パーマによるトラブル
・頻繁にカラーリング、パーマをする
このように、びまん性脱毛症につながるきっかけは日常の中にたくさんあります。
誰にでも発症の可能性がある身近な脱毛症なのです。

びまん性脱毛症の改善

残念ながらびまん性脱毛症の改善には、「これをすれば治る」という万人に効く方法はありません。そのかわり、きちんと個人の症状に合った対策を行えば改善につながりやすい脱毛症です。共通して必要なのは「規則正しい生活」と、以下のステップになります。

(1)今の状態の確認
広い範囲で薄くなるびまん性脱毛症は、症状全体の把握が難しいこともあります。自分で思っている以上に進行していることがあるので、1度しっかりチェックしてみましょう。身近な人に前後・左右から写真を撮ってもらう、カウンセリングに行くなどの方法があります。

(2)原因と、それに合う治療法を見つける
前項であげたように、びまん性脱毛症になる原因は1つではありません。さらに、ホルモンバランスとストレスなど互いに関連し合っているものもあり複雑です。そこで、完治のための原因特定と治療には、病院の利用をおすすめしています。

円形脱毛症

ストレス過多の時代、それに関連した心身症が起こりやすくなっています。円形脱毛症もそのひとつです。動物実験では過重なストレスをかけると、半日程度で動物の毛が抜けた例があります。ただし、なぜストレスによって脱毛するのか、はっきりとしたメカニズムはまだわかっていません。毛根の周りにはリンパ球が集まっているため、自己免疫疾患のひとつではないかといわれています。

円形脱毛症は、軽度であれば、ストレスを解消するだけで髪は生えてきます。それもストレスと円形脱毛症が関係しているといわれるゆえんです。治療では、塩化カルプロニウムによって血流を改善し、頭皮に刺激を与えながら、ストレスを軽減することで、通常は2~3カ月程度で髪はよみがえってきます。
しかし、重症化した場合は、そうは簡単にいきません。円形脱毛が3つ、4つと多発したり、それらが融合したり、さらには脱毛がまつ毛や体毛など全身に及ぶほど症状が進行してしまうと、治療が長期にわたることは珍しくありません。
軽度の円形脱毛症では、職場や家庭環境などに悩むことがあり、ご本人もある程度のストレスを感じ取っているのが一般的です。ところが、重症化した人の中にはストレスを自覚しないケースもあるのです。

ストレスがないのに円形脱毛症になる・・・。これは、無意識のうちにストレスがたまっているケースが多く、医療機関におけるストレス評価テストにおいて、毎日飛び込み営業で過重なストレスを感じている会社員と同程度の評価結果が得られることからもわかります。

無意識のストレスは自分自身で解消するのは難しく、放っておくと症状は重くなっていきます。円形脱毛の症状が出たときには、早めに医療機関で適切な治療を受けることが望ましいといえます。
多発型や融合型の円形脱毛症の治療には、ステロイド外用薬、セファランチン(免疫賦活薬)、グリチロン内服(肝機能の庇護薬)などが用いられ、ステロイドの局所注射や人工的にかぶれを起こす感作療法などもあります。

さらに、重症化している場合には、ビタミンやミネラルの投与、ミノキシジル(育毛薬)の使用、ステロイド内服、血行をよくするための低出力レーザー使用など、症状によってさまざまな治療を追加し組み合わせます。もちろん、カウンセリングも適宜取り入れられます。睡眠時間を十分取ったり、食生活の改善も不可欠です

男性型はホルモンが関与 丁寧シャンプーで予防を

年齢とともに頭頂部などが薄くなる男性型脱毛症は男性ホルモンが関係しており円形脱毛症とはメカニズムが異なります。飲み薬や塗り薬もありますが、日ごろのシャンプーでも、ある程度防ぐことができます

男性型脱毛は薄くなったからといって、まったく毛がなくなるのではなく、産毛のような新しい毛が生えています。洗髪時はまず、湯をかけて汚れを落とす。五百円玉くらいの量のシャンプーを泡立てて、1回目は汚れや皮脂を洗い流し、2回目は半分の量のシャンプーで5分ほどマッサージをしながら洗うのがよいと言われています。

頭皮に直接シャンプーをつけたり、皮脂を取ろうとごしごし洗ったり、爪をたてたりするのはよくないです。そして、しっかりとすすぐ。これは男性だけでなく、女性にも共通することです。

拭く際は頭からタオルをかぶり、軽くたたいたり、もんだりして水分を取り、育毛剤を使用する際はドライヤーで乾かす前に塗るのがよいでしょう。蒸したタオルで血液の流れをよくすることも有効です。

肩や首が凝っていると、頭皮の血の流れが悪くなります。運動やマッサージをしたり、首筋に蒸したタオルを巻いたりするのがお勧めです。1日1回リラックスする時間を持つようにすることが大切でしょう。

ダメージヘア

ダメージヘアとは?

何らかの原因で、頭髪が傷ついている状態を意味する言葉です。
では、そのようにして髪は傷むのでしょうか。

髪が傷む仕組みとは?

髪は、大きく3つの層からなっています。髪の中心にあるのが「メデュラ」、その周りを「コルテックス」が覆い、コルテックスを「キューティクル」が包みこんでいます。髪の約85~90%を占めるコルテックスは、主にタンパク質からなっており、同時にたくさんの水分を含んでいます。

健康な髪の場合、キューティクルがコルテックスのタンパク質や水分を守る働きをしています。しかし何らかの原因でキューティクルが剥がれたりめくれたりすると、コルテックスにあるタンパク質や水分が流出して、髪が傷んだ状態になってしまいます。

またキューティクルは通常、うろこ状に規則正しく重なり合っています。うろこ状にきちんと整っていると、髪にツヤが生まれて、見た目も美しい髪を維持できます。だけどキューティクルが傷ついてしまうと、形状が乱れて、見た目も髪のツヤがない状態に。

傷んだ髪は修復はできる?

髪は死んでしまった細胞なので、爪と同じように、自分で傷みなどを修復する「自己修復機能」はありません。髪や爪を強くさわっても、痛くないのはこのためですね。自己修復機能がありませんので、一度傷んだ髪は残念ながら元には戻りません。そこで髪が傷む原因を知って、予防することが大切です。

髪が傷む原因は?予防法についてみてみましょう!

シャンプーによるダメージ

シャンプーは、髪を清潔に保つために必要不可欠。だけど洗い方によっては、髪を傷めてしまう原因になってしまいます。キューティクルは、髪が濡れると開く性質を持っています。キューティクルが開いた状態で髪をゴシゴシ洗うと、キューティクルが傷ついてダメージの原因になってしまいます。

シャンプーは事前に手のひらで泡立てた上で髪に乗せて、地肌を揉みこむように洗いましょう。シャンプーの泡は、髪と髪の摩擦を防ぐ役割も果たしています。髪を洗い終わったら、シャンプーが残らないよう十分にすすぐのも大切◎最後に、トリートメントなどで髪をいたわってあげるとベター。キューティクルが開いていますので、栄養分が浸透しやすくなっていますよ。

髪の自然乾燥によるダメージ

髪を乾かさずに、自然乾燥させている女性も多いのでは?単純に面倒くさい、ドライヤーの熱で髪が傷みそう、さまざまな理由があることでしょう。だけど髪は濡れると、キューティクルが開いた状態になってしまいます。濡れたままの髪を放置していると、髪に必要なタンパク質や水分がどんどん失われてしまうことに。

また、髪が濡れたままで寝てしまうと、枕などとの摩擦によって髪が傷んでしまいます。髪に水分が残っていると、雑菌が繁殖して「かゆみ」や「におい」が発生する原因にも。髪をシャンプーしたら、きちんと乾かすことが大切です。

ドライヤーやアイロン・コテなど熱によるダメージ

実はキューティクルは、熱にも弱い性質を持っています。ならば自然乾燥orドライヤー、どちらがベター?と思ってしまいますね。結論から言えば、ドライヤーで乾かすのがベスト◎なぜなら、自然乾燥による摩擦などのほうが、ドライヤーによる熱に比べて髪のダメージが大きいからです。

タオルドライで水分を吸収させた髪を、ドライヤーで乾かしていきましょう。髪とドライヤーの距離を20cm程度に維持しながら、短時間で髪を乾かしていきます。髪の根元を中心にドライヤーをあてると、髪が乾きやすくなりますよ◎

アイロンやコテも髪を傷める原因に。アイロンやコテをするなら、髪が乾いた状態で行うのがマスト。ダメージを与えすぎないように、1ヶ所にアイロンをあて続けるのはNGです。くせ毛などで毎日のようにアイロンをしているなら、ストレートパーマや縮毛矯正などをかけたほうが、髪が傷みにくいケースもあります。

傷んだ髪のケア法や改善法とは?

トリートメントで髪に栄養分を与えよう

髪に自己修復機能はありませんので、一度傷んだ髪は元には戻りません。ですが、傷んだ髪をケアすることはできます。傷んだ髪をケアするために、トリートメントで髪の内部に栄養を与えてあげましょう。

剥がれてしまったキューティクルは元には戻りませんが、栄養分を補うことで、失われたタンパク質や水分を補給することができます。

傷んだ髪をカットする

いったん傷んでしまった髪の毛は、もう元には戻りません。ならば思い切って髪をカットして、新しく生えてきた髪を大切に保護しながら、改めて伸ばしていくのもおすすめ◎

せっかく髪をカットするなら、思い切ってなりたいイメージにイメチェンしましょう!毎日のシャンプーやドライヤーなどに注意しながら、ツヤ髪をキープしていくのがベストです。