植毛を検討する際、「どのくらいの密度で移植すれば自然に見えるのか」「髪がスカスカにならないか」と気になる方も少なくありません。植毛では移植本数だけでなく、密度や配置の違いによって、ボリューム感や自然さに差が出ます。そのため、植毛する部位の特性やドナーの状態、医師の技術を踏まえた密度設定が重要です。
この記事では、植毛密度の基本や自然な髪の密度、密度設定のポイントについて解説します。
目次
植毛密度とは
植毛密度とは、一定の範囲内に移植する毛髪の量を示した数値です。この数値は、仕上がりのボリューム感や自然さを考えるうえで、一つの目安となります。ここからは、植毛密度の基本的な考え方と、密度が見た目にどのような影響を与えるのかを解説します。
植毛密度の基本概念
植毛における「密度」とは、1平方センチメートルあたりに移植する株数(グラフト数)や毛髪本数を表した数値です。植毛では、この数値をもとに、移植範囲や必要なグラフト数を検討していきます。ただし、毛髪の密度には、頭の部位によって大きな違いがあります。
例えば、日本毛髪科学協会によると、頭頂部では約300本/cm²、側頭部〜後頭部では約200本/cm²程度が平均的な毛髪の密度です。さらに、毛髪の密度には個人差があります。そのため、実際の植毛では、数値を目安にしながら、移植する部位の状態や、毛髪全体のバランスを考慮した密度設定が必要です。
密度が見た目に与える影響
植毛の密度は、見た目の印象に大きく影響します。適切な密度に設定されていると、毛髪に自然なボリューム感が生まれ、毛髪全体が違和感なくまとまります。
一方、密度が低すぎる場合は、毛髪が生えていても頭皮が透けて見えやすく、薄毛が改善された実感を得にくくなるでしょう。反対に、密度を過度に高く設定すると、毛流れが不自然になり、植毛した部分だけがかえって目立ってしまう場合もあります。
そのため、植毛では単に毛髪の本数を増やすのではなく、ボリューム感・自然さ・頭皮のカバー力といった見た目のバランスを意識しながら、密度を調整することが重要です。
自然な髪の密度と植毛で目指せる密度

植毛の密度を考える際は、自分の髪がどの程度の密度で生えているのかを知ることが大切です。そのうえで、植毛ではどこまで増やせるのかを理解しておくと、仕上がりのイメージがしやすくなります。
日本人の自然な後頭部の密度
日本人は、毛量が多く比較的安定している後頭部において、1平方センチメートルあたり約60〜80株(およそ120〜200本)の毛髪が生えているとされています。一方、植毛では、自然な密度をそのまま再現できる訳ではありません。
一度の手術で移植できる密度は、グラフト換算で約40~50株/cm²(およそ80〜100本)が一般的です。この密度の範囲でも、見た目としては十分な改善を実感できるケースが多く見られます。
ただし、より高い密度を一度に求める場合、限られたドナー毛の配分が適切でなくなったり、既存毛の損傷や生着率の低下を招いたりする可能性があります。そのため、密度の設定は、頭皮や毛髪の状態を踏まえながら、慎重に判断することが重要です。
植毛で目指せる密度
植毛の密度には、明確な正解はありませんが、一般的に1平方センチメートルあたり25〜30株程度を目安に移植するクリニックが多いとされています。
ただし、この密度では、見た目の変化を十分に実感しにくいケースがあるのも事実です。特に、はっきりとした改善を希望される方には、25〜30株/cm²では物足りなさを感じる場合があります。
そのため、高度な技術と経験を持つクリニックでは、1平方センチメートルあたり40〜50株程度の高密度植毛を目指すことも可能です。実際に、アスク井上クリニックでは、男性の場合を中心に、1平方センチメートルあたり40〜50株の密度で植毛していきます。
通常、毛穴の数は1平方センチメートルあたり約80〜100穴とされており、40〜50株の移植は、毛穴の約40〜60%をカバーできる計算です。この密度であれば、毛髪の自然さを保ちながら、見た目の改善を実感しやすくなります。
部位別の密度設定のポイント
生え際は徐々に密度を高め、自然なグラデーションを演出
生え際は、顔の印象を左右しやすく、植毛の仕上がりが最も目につきやすい部位といえます。ただし、いきなり高密度で植毛するのではなく、生え際から奥に向かって徐々に密度を高めて、自然な毛量のグラデーションを目指しましょう。このように密度に段階をつけることで、生え際特有の自然な立ち上がりや毛流れが再現しやすくなります。
頭頂部やM字部分は周囲の髪とのバランスで調整
頭頂部や生え際のM字部分は、既存毛が残っているケースも多く、周囲の髪とのなじみが重要です。そのため、単純に密度を高くするのではなく、周辺の毛髪量や毛流れを見ながら密度を調整します。
特に頭頂部は、つむじからの向きや光の当たり方によって、見え方が変わりやすい部位です。M字部分も、生え際とのつながりを意識しないと、不自然な印象になる可能性があります。こうした部位では、全体のバランスを重視した繊細な密度設定が求められます。
植毛密度を決める要素

植毛の密度は、「できるだけ多く植えたい」という希望だけで決められるものではありません。実際の手術では、いくつかの条件を総合的に見極めながら、一人ひとりに合った無理のない密度を設定します。ここからは、植毛密度を左右する代表的な要素について、詳しく解説します。
ドナーの髪の量・太さ
植毛の際に使用する毛髪は、主に後頭部や側頭部にあるドナーから採取されます。そのため、ドナーの毛量が十分にあるかどうかは、密度設定を考えるうえで非常に重要です。
ドナーの毛量が多く、1株あたりの毛髪本数が多い場合は、比較的少ない株数でも見た目のボリュームを確保しやすくなります。また、毛髪が太い方は、同じ密度で移植しても、薄毛が目立ちにくい傾向があります。
一方で、ドナーの毛量が限られている場合や、毛髪が細い場合には注意が必要です。無理に高密度で移植すると、将来的に追加の植毛が必要になった際、使えるドナーが不足する可能性があります。そのため、現在の仕上がりだけでなく、将来を見越したドナーの使い方も密度設定の重要な判断材料になります。
移植部の頭皮状態
移植する部位の頭皮状態は、植毛密度を決めるうえで欠かせない要素です。血流が良好で皮膚に柔軟性がある頭皮は、移植毛が定着しやすく、比較的高めの密度にも対応しやすくなります。
一方、皮膚が硬い場合や、過去に炎症などのトラブルがあった部位では、無理な高密度移植が頭皮への負担となることがあります。また、既存毛が残っている部位では、密度や配置によって頭皮環境に負荷がかかり、生着率に影響が出る可能性にも考慮が必要でしょう。
このように、同じ密度であっても頭皮の状態によって適した対応は異なります。そのため、事前の診察で頭皮環境を正確に確認したうえで、無理のない密度を判断していくことが重要です。
医師の技術
植毛密度は、医師の技術力によって実現できる範囲が大きく変わります。高密度での植毛では、毛穴の角度や深さ、毛流れを細かく調整する必要があり、わずかなズレが仕上がりの不自然さにつながる場合もあります。
技術力の高い医師であれば、限られたスペースの中でも適切な間隔を保ち、自然な毛流れを意識した植毛が可能です。その結果、高密度であっても違和感の少ない仕上がりが期待できます。
一方で、密度を高めるほど、既存毛への影響や生着率への配慮がより重要です。そのため、単に「何株植えられるか」だけでなく、安全性や長期的な安定性を考慮した判断ができるかどうかも、医師選びの大きなポイントといえるでしょう。
高密度・高生着率の自毛植毛ならアスク井上クリニックのi-SAFE

自毛植毛では、どれだけ多く移植できるかだけでなく、生着率や仕上がりの自然さも重要なポイントです。「i-SAFE」は、そうした点に配慮したアスク井上クリニック独自の自毛植毛技術です。
この治療法は、密度と生着率の両立を目指しながら、移植部分の痛みや傷を抑えられます。ここからは、i-SAFEの主な特徴を詳しく解説します。
狙った部位に高密度に植毛が可能
従来の植毛では、密度を高めようとすると毛根への負担が大きくなりやすいという課題がありました。i-SAFEでは、専用機器を使用し、毛根の向きや間隔を細かくコントロールしながら移植します。そのため、必要な部位に無理なく高密度で植毛することが可能です。
生え際やM字部分など、見た目の印象を左右しやすい部位においても、自然さを意識した仕上がりが期待できます。結果として、髪型の選択肢が広がりやすい点も、大きなメリットの一つといえるでしょう。
毛根を傷めないので高い生着率
i-SAFEは、毛根を陰圧吸引の仕組みで取り扱うため、移植の過程で毛根を傷めにくいのが特徴です。毛根は非常に繊細な組織であり、わずかなダメージでも定着率に影響を及ぼします。毛根への負担を抑えた移植によって、生着が安定しやすく、術後も発毛が持続しやすくなります。長期的に自然なボリュームを保ちたい方にとって、安心感のある治療法といえるでしょう。
痛みが少なく、高精度で自然
i-SAFEでは、メスを使用せず、特殊な器具によって毛根を採取します。そのため、従来の手術と比べて痛みが少なく、術後の腫れも抑えやすい傾向があります。
さらに、毛の角度や方向を細かく調整しながら移植できる点も、i-SAFEの特徴といえるでしょう。数ミリ単位で精密な調整が行われるため、既存の毛髪となじみやすく、植毛と気づかれにくい自然な仕上がりが期待できます。
▼アスク井上クリニックのi-SAFEについて詳細はこちら
https://www.asc-cl.jp/medical/isafe/
まとめ
植毛密度は、自然な仕上がりと満足度を左右する重要な要素であり、ドナーや頭皮の状態を考慮した適切な設定が必要です。薄毛の原因や進行度によって対策は異なり、状況によっては自毛植毛が有効な選択肢となります。
当院では、頭皮や毛髪の状態、将来的な薄毛の進行も見据えたうえで、一人ひとりに適した植毛プランをご提案いたします。植毛密度や仕上がりについて不安や疑問がある方は、まずはお気軽にアスク井上クリニックの無料カウンセリングへご相談ください。専門的な視点から現在の状態を診察し、納得のいく治療方針を一緒に考えていきます。

















