「頭に怪我をしたが、その跡に髪の毛が生えてこない」「髪の一部分に地肌が見えて目立つ…」などのような悩みを抱えている方も少なくないでしょう。髪の毛が生えてこない症状は、様々なものが要因で誰にでも起こりうるものです。
本記事では、怪我や手術跡に髪の毛が生えてこない「瘢痕性脱毛症」の具体的な症状や原因、治療法を解説します。少しでも早く治療や対応をすることで見た目を改善できるため、正しい知識を手に入れて髪の悩みを解決し、自信を持てる自分になりましょう。
目次
瘢痕性脱毛症とは|傷跡が原因の薄毛
瘢痕性脱毛症とは、外部からの刺激により頭皮が傷ついて毛包が破壊されることで、その傷跡から髪の毛が生えてこなくなる症状です。火傷や手術、事故による外傷、感染症や自己免疫による毛包の破壊などが原因で発症します。
他の脱毛症と異なり、一度毛包が破壊されてしまうと二度とそこから髪の毛は生えてきません。そもそも瘢痕とは、外傷や火傷などの傷が治った後に残る傷跡のことです。頭皮には、髪の毛を作り出す「毛包」と呼ばれる器官があります。
しかし、この毛包に何らかの外的要因や皮膚疾患などが加わり破壊されてしまうと、新しい髪の毛は作れなくなります。そのため髪の毛が生えてくることは二度となく、病院やクリニックで適切な治療を受けることが、状態を改善するためにできる対応です。
二種類の瘢痕性脱毛症

瘢痕性脱毛症は、大きく分けて原発性瘢痕性脱毛症と続発性瘢痕性脱毛症の2つがあります。それぞれ発症する要因や症状が異なるため、以下で詳しく解説します。
原発性瘢痕性脱毛症
原発性瘢痕性脱毛症とは、自己免疫が毛包を攻撃して破壊することで起きる瘢痕性脱毛症です。
人の身体には、体内に侵入してきた病原体や異物を攻撃して排除する免疫機能が備わっています。しかしその免疫機能が異常をおこすと、自身の細胞や組織を攻撃してしまう現象が発生してしまいます。この現象を自己免疫と呼び、自己免疫により毛包に炎症が引き起こされることで脱毛症に陥ってしまうのです。
発生頻度は高くありませんが症状の進行は速く、脱毛範囲が拡大していきます。そのため、少しでも早く専門医を受診し、治療する必要があります。
原発性瘢痕性脱毛症の原因
原発性瘢痕性脱毛症を引き起こす原因として、自己免疫疾患などの病気が考えられるものの、正確な原因は断言できない場合がほとんどです。複数の疾患による影響を受けて発症する場合が非常に多く、どの疾患や異常が原因か特定しきれないときに診断されます。
毛包の炎症を引き起こしやすい疾患としては、禿髪性毛包炎や毛孔性扁平苔癬、皮膚エリテマトーデスなどがよく挙げられます。また疾患以外でも、遺伝子変異やストレス、乱れた食生活などが免疫に影響を及ぼす可能性もあると考えられているのです。
原発性瘢痕性脱毛症は明確な原因が突き止めづらいため、根本的な要因を治療する確実な治療法がありません。また、症状の進行速度が速いため、症状の疑いがある場合は速やかに専門機関を受診しましょう。
続発性瘢痕性脱毛症
続発性瘢痕性脱毛症とは、火傷や手術跡などの外的要因により瘢痕ができることで、髪の毛が生えてこなくなる瘢痕性脱毛症です。毛包はもともと問題なく、外部からの刺激によって頭皮が損傷し、その結果毛包が破壊されてしまいます。一度毛包が破壊されると、その部分から髪の毛の再生は見込めません。
外傷を負って瘢痕ができた部分のみに発生する症状であるため、脱毛範囲は限定的です。そして原発性とは異なり、原因がはっきりとわかっているため、それぞれに合わせた治療が可能です。
続発性瘢痕性脱毛症の原因
続発性瘢痕性脱毛症の原因となる外的要因には、火傷や手術跡、薬剤の副作用などがあります。頭部が何らかの形で損傷し、その傷が治ると瘢痕ができます。しかし深い傷を負い、毛包まで達してしまうと破壊されるため、二度と髪の毛が生えてこない瘢痕となってしまうのです。
事故による怪我や火傷、手術による裂傷、皮膚の病気などが主な要因です。また、スタイリング剤等に含まれる化学薬品によるダメージや放射線の影響、長期的にいつも同じ箇所で髪の毛を縛ることなどによる頭部への負荷でも発症します。このように、日常生活での慢性的な習慣も、続発性瘢痕性脱毛症を引き起こす可能性があると知っておいてください。
瘢痕性脱毛症と円形脱毛症の違い

薄毛や抜け毛に関する悩みを抱えているときに、円形脱毛症を思い浮かべる方もいるでしょう。円形脱毛症も髪の一部が抜けるという点では同じですが、瘢痕性脱毛症とは根本的な違いがあります。ここでは、その違いに関して詳しく説明します。
円形脱毛症とは|突然円形に毛が抜ける自己免疫疾患
円形脱毛症とは髪の一部が突然、円形や楕円形に抜けてしまう症状です。性別や年齢を問わず発症する可能性があり、部位や脱毛範囲の広さにも個人差があります。
最初は一部分が円形に抜け、それから複数箇所で脱毛が発生したり広範囲が一気に抜けたりと複数のタイプがあります。特に痛みもないため、脱毛していることに気付きずらいことも特徴です。
主な原因としては免疫の異常が考えられます。精神的なストレスや免疫系の疾患による自己免疫で、毛包が攻撃されることで発症します。その他、血縁に円形脱毛症の人がいると発症する可能性がある遺伝や、不健康な生活習慣によるホルモンの乱れも症状を引き起こしやすい要因です。
瘢痕性脱毛症との違い
円形脱毛症と瘢痕性脱毛症には様々な違いがあり、特に大きな違いは毛包が破壊されているかです。
円形脱毛症は毛包が残るため、適切な治療により回復する可能性があります。また、脱毛している部分以外は問題なく健康に見え、痛みも感じないことがほとんどです。原因は免疫の異常であると考えられています。
瘢痕性脱毛症では毛包が破壊されて瘢痕が形成され、その部分から髪の毛が再生することはありません。主な原因は自己免疫の他、火傷や事故など外的要因による損傷や継続的な頭部への過度な負荷です。瘢痕の部分に痛みや炎症が発生する場合もあり、進行も早いため早期の治療が重要とされています。
瘢痕性脱毛症は治るのか?

瘢痕性脱毛症になると髪の毛が再生する可能性は見込めないが、症状の進行を止めて少しでも改善することは可能です。毛包が完全に破壊されているため、髪の毛は再生されません。
しかし適切な治療を受けることで見た目を改善し、悩みを解消できます。以下で治療法を紹介するため、参考にしてください。
自然治癒はほぼ不可
瘢痕性脱毛症を発症した場合、自然治癒は見込めないと認識して問題ありません。前述したように、毛包が完全に破壊されている状態のため、自然に髪の毛が生えてくることはないのです。
他の脱毛症は、生活習慣の改善やAGA薬やステロイドなどの薬を使用することで自然回復できることが多いものの、瘢痕性脱毛症は不可能です。そのため、少しでも早く専門機関を受診し、適切な対処を受ける必要があります。
原発性瘢痕性脱毛症の初回治療
まずはステロイド系の塗り薬や内服、局所注射などで治療します。免疫疾患が原因の可能性が高いため、炎症を抑えて脱毛範囲の広がりを抑えることが目的です。
ステロイド薬は体内の炎症や免疫力を抑える作用があり、脱毛箇所に使用することで炎症を抑えて毛包の破壊を防ぎます。脱毛症以外でも、自己免疫疾患や呼吸器疾患など、全身の病気に対して用いられています。
続発性瘢痕性脱毛症の初回治療
続発性瘢痕性脱毛症では、原因である外傷や病気の治療をまず実施します。外傷は過去に負ったものであるため既に瘢痕となっており、炎症は現在進行形で発生していないため、瘢痕部分の治療が最優先です。そのため、必ずステロイド薬を使用するわけではありません。
抗生物質や抗真菌薬など、瘢痕の状態や原因に合ったものを使用します。AGA薬は脱毛症の治療でよく用いられますが、この場合は使用しても症状改善は不可能です。
脱毛部分を縮小させる縫縮術(縫合術)
脱毛範囲が非常に狭い場合に限り、縫縮術を選択できる場合があります。
縫縮術とは、脱毛している瘢痕の部分を切除し、切除部分周辺の髪が生えている健康な頭皮を縫い合わせる外科的な手術です。傷跡を小さく見せられることや効果がわかりやすいなどのメリットがあります。
しかし、脱毛範囲が広い場合や脱毛部分の位置などによって、縫縮術を受けられない可能性もあります。そのため、この手術を希望する場合は必ずカウンセリングで、手術を受けられる状態か必ず確認してください。
頭皮の状態が安定したら自毛植毛を検討
効果的な治療法の1つとして、自毛植毛があります。自毛植毛は、自身の健康な髪の毛を採取して瘢痕部分に移植します。脱毛してしまっている部分に再び髪の毛を生やせるため、注目を集めている治療法です。
毛包ごと移植することや自身の細胞を移植することから拒絶反応が起こりにくく、移植した場所で馴染めば再び髪の毛が生えてきます。瘢痕部分が広い場合や、瘢痕部分から髪の毛が二度と再生しない状態である場合にも有効です。
しかし、全ての人が成功するとは断言できず、皮膚の状態や健康状態などによってはうまく馴染まず髪の毛が再生しない場合もあります。自毛植毛を検討する場合は、実績があって信頼できるクリニックで、まずは相談してみてください。
瘢痕性脱毛症の自毛植毛にはアスク井上クリニックのi-SAFEがおすすめ

自毛植毛を検討する場合は、アスク井上クリニックの「i-SAFE」がおすすめです。自毛植毛を成功させて髪の毛を再生するためには、専門医の豊富な経験や精密な技術が求められます。
i-SAFEは確かな経験と技術を持つ医師が開発した、メスを使用しない新しい植毛法です。そのため傷跡が目立たず、ナチュラルな髪の毛に仕上がります。
切らない自毛植毛で傷跡への負担が少ない
i-SAFEは植毛採取でメスを使用せずに毛根ごとに髪の毛を採取するため、傷跡への負担が最小限に抑えられます。採取に使用するパワードマイクロパンチは、直径が約0.65~0.85mmと世界最小レベルの微細さ。そしてその器具を使用して必要な分のみを吸引して採取するため、ダメージ量が限界まで軽減されているのです。
また、移植する際はもともとある毛穴を使用してホールを作り、そのサイズも世界最小であるため負担が非常に少なく済みます。傷跡の大きさは最低限に、与えるダメージ量も最低限に抑えられていることが特徴です。
術後の傷跡が目立たず、腫れ・痛みが少ない
i-SAFEではメスを使用して植毛する部分をカットせずに1つずつ抜いていくため、施術後に傷跡が目立ちません。
一般的な自毛植毛は植毛する髪の毛がある範囲を切除するため、縫合跡がわかりやすくなってしまいます。また、切らない自毛植毛のFUEでも、使用する器具が直径約1.0~1.2mmと太いため跡が目立っていたのです。
しかし、i-SAFEは切開せずに髪の毛を採取するため腫れも痛みも少なく、また縫合跡も残りません。そのため、周囲の人に自毛植毛をしたとバレたくない場合におすすめです。
後頭部を刈り上げずに大量移植が可能
一般的な自毛植毛やi-SAFEでも、髪の毛を採取する後頭部の部分は毛髪を2~3mm刈り上げるのですが、アンシェーブンi-SAFEを選択することで後頭部を刈り上げずに済みます。
アンシェーブンi-SAFEは他の方法よりも時間がかかってしまうものの、後頭部を刈り上げずに必要な髪の毛のみを吸引採取する施術です。切らないため縫合跡が目立たないのはもちろん、刈り上げも行わないため見た目の変化が最小限に抑えられます。
そのため、移植範囲が広い場合でも対応でき、見た目を気にして自毛植毛に踏み出せなかった方も安心して受けられる治療です。
▼アスク井上クリニックのi-SAFEについて詳細はこちら
https://www.asc-cl.jp/medical/isafe/
まとめ
瘢痕性脱毛症は円形脱毛症とは異なり、毛包が破壊されているため、髪の毛が再生する可能性はほぼ見込めない脱毛症です。
内服や局所注射、塗り薬で症状の進行を防ぐ他、外見を改善するために縫縮術や自毛植毛などの治療を受ける方も多くいます。
瘢痕性脱毛症に限らず、もし脱毛症かもしれないと思った際には、できる限り早く専門機関を受診することがおすすめです。その際はぜひ、自毛植毛の経験と技術が豊富なアスク井上クリニックの無料カウンセリングへご相談ください。

















