生え際後退の対策とは?原因から医学的に効果的な治療まで解説

「鏡を見るたびにおでこが広くなったように感じる」「分け目の位置が少しずつ後ろに下がっている気がする」そのような変化に気づいたとき、生え際の後退が始まっている可能性があります。

この記事では、生え際の後退が起こる主な原因から、自宅でできるケア方法、そして医学的に効果が確認されている治療法までを分かりやすく紹介します。原因を知ることが、改善への第一歩です。

生え際の後退はどのように進む?進行パターンと特徴

生え際を気にする男性

生え際が後退していく過程には、いくつかの典型的なパターンがあります。自分のタイプを知ることは、今の状態を正しく理解し、これからのケアを考えるうえで大切なことです。

ここでは代表的な三つのタイプ、M字型、U字型、O字型について解説します。

M字型(こめかみから下がるタイプ)

最も多く見られるのがM字型です。左右のこめかみ部分、いわゆる剃りこみのあたりから少しずつ髪が後退していきます。正面から見るとアルファベットのMのような形になることから、この名前がついています。

初期のうちは気づきにくいですが、時間の経過とともにM字の角度が深くなり、生え際のラインが徐々に後ろへ下がっていくのです。鏡を見たときにおでこが少し広くなったように感じたら、このタイプの初期段階かもしれません。

U字型(全体が後退していくタイプ)

生え際全体が均等に後退していくのがU字型です。おでこ全体が広くなるように進行し、最終的に額のラインがUの字のように見えるのが特徴です。

このタイプは、M字型と同時に進行することもあります。こめかみ部分の後退と全体の後退が合わさると、おでこの広がりがよりはっきり感じられるようになります。前髪のボリュームが減ったり、おでこの形が以前より丸く見えたりする場合は、このタイプの可能性が高いです。

O字型(頭頂部から薄くなるタイプ)

O字型は、頭頂部、いわゆるつむじの周辺から薄くなっていくタイプです。自分では見えにくいため、他の人から指摘されて気づくことが多いのが特徴です。

進行が進むと、頭頂部の薄毛が前頭部の後退とつながり、縦のライン状に薄くなることもあります。これはI字型とも呼ばれることも。鏡だけでなく、写真やスマートフォンを使って定期的に頭頂部を確認すると、変化に早く気づけます。

生え際後退の危険サインをセルフチェック

チェックリスト

生え際の後退は、AGA(男性型脱毛症)の代表的なサインです。ただし、もともとおでこが広い人もいるため、「自分ははげてきたのでは」と感じても、すぐに判断するのは早いかもしれません。

本当に生え際が後退しているのか、それとも一時的な変化なのか。次のチェック項目を確認しながら、自分の頭皮や髪の状態を見直してみましょう。

おでこの広さが指4本分以上

おでこの広さを測ることは、生え際の後退を確認する簡単な方法の一つです。一般的に、成人男性のおでこの幅は、指3本分ほどが目安とされています。もし、指4本分以上の広さがある場合は、生え際が以前より後退している可能性があります。ただし、生まれつきおでこが広い人もいるため、過去の写真と見比べてみることが大切です。

また、M字型にこめかみ部分が下がっていたり、生え際の一部だけが薄くなっている場合は、AGAが進行しているサインかもしれません。小さな変化でも見逃さず、早めに対策を考えておきましょう。

頭皮が硬く動きにくい

健康な頭皮は柔らかく、指で押すと軽く動くのが特徴です。しかし、頭皮が硬くなっている場合は、血流が悪くなっている可能性があります。血行不良になると、髪に必要な栄養が届きにくくなり、毛根の働きが弱まってしまいます。その結果、生え際の髪が細くなったり、抜けやすくなったりすることも。

特に、ストレスや睡眠不足、運動不足が続くと頭皮がこり固まりやすくなります。日常的に頭皮マッサージを取り入れ、血流を促すことで髪の環境を整えることが大切です。

1日200本以上の抜け毛がある

健康な人でも、1日に50本から100本ほどの抜け毛は自然な現象です。しかし、200本以上抜ける状態が続く場合は、何らかの異常が起きている可能性があります。

特に、生え際や頭頂部から抜ける毛が細く、短いものが多いときはAGAが進行しているサインの一つです。抜け毛の太さや毛根の形が変わってきた場合は、専門クリニックへの相談を検討するのもおすすめです。

過去の写真と比較して毛量が減っている

生え際の後退は、毎日少しずつ進行するため、自分では気づきにくいことがあります。そのため、数年前の写真と今の自分を比べてみることが効果的です。

同じ角度で撮った写真を並べてみて、おでこが広くなっていたり、髪のボリュームが減っていたりする場合は、進行のサインかもしれません。自然光の下で撮影された写真を使うと、より違いが分かりやすくなります。

生え際後退の主な原因

笑顔の男性医師

生え際が後退する原因は一つではありません。多くの場合、いくつかの要因が重なって進行していきます。

ここでは、代表的な4つの原因である「遺伝的要因・AGA」「生活習慣」「ストレス」「牽引性脱毛」について詳しく見ていきましょう。

遺伝的要因・AGA

生え際の後退に最も深く関わっているのが、AGA(男性型脱毛症)です。AGAは遺伝やホルモンの影響によって起こり、特に男性ホルモンの一種であるテストステロンが、頭皮内の酵素と反応してDHT(ジヒドロテストステロン)といった物質に変化することで進行します。

このDHTが毛根に作用すると、髪の成長サイクルが乱れ、十分に育つ前に抜けてしまうようになります。特に生え際や頭頂部はDHTの影響を受けやすく、次第に髪が細くなり、やがて目に見える後退として現れるのです。

生活習慣の影響

食事や睡眠など、日常の生活習慣も生え際に大きな影響を与えるのです。髪はタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養から作られています。脂っこい食事が多いと皮脂の分泌が増え、毛穴が詰まって頭皮環境が悪化する原因になるのです。

さらに、睡眠不足や運動不足も血行を悪くし、毛根に栄養が届きにくくなります。髪を育てるためには、バランスの取れた食事と十分な休息を意識することが大切です。

ストレス

ストレスも生え際後退の大きな要因の一つです。強いストレスを受けると、自律神経のバランスが崩れ、血流が悪化します。血行が滞ると、髪に必要な栄養や酸素が届かなくなり、成長が妨げられます。

さらに、ストレスによってホルモンバランスが乱れると、AGAの進行を早めることにもつながるのです。忙しい毎日の中でストレスを完全にゼロにすることは難しいですが、軽い運動や趣味の時間を取り入れて、心と体をリセットすることが髪の健康維持につながります。

牽引性脱毛

髪を強く引っ張ることによって起こる脱毛を「牽引性脱毛」といいます。長期間、髪を引っ張るようなヘアスタイルを続けていると、毛根に負担がかかり、生え際が後退する原因になります。

特にポニーテールやお団子ヘア、編み込み、エクステンション、カチューシャなどは、頭皮に持続的な力が加わりやすいため注意が必要です。同じ髪型を長く続けないようにしたり、結ぶ位置を変えたりすることで、頭皮への負担を軽減できます。

生え際の後退を抑える対策

育毛剤を使用する男性

生え際の後退は、生活習慣や頭皮環境、ホルモンバランスなど、さまざまな要因が関係しています。だからこそ、正しい知識とケアの積み重ねがとても大切です。ここでは、今日から取り入れられる具体的な対策を紹介します。

生活習慣・ストレスケアの見直し

髪の健康は、まず「体の健康」から生まれます。睡眠・食事・ストレスのバランスを整えることが、生え際後退を防ぐ第一歩です。良質な睡眠を取るためには、毎日同じ時間に寝起きすることが大切です。寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、ぬるめのお湯に浸かってリラックスすると、入眠の質が高まります。

正しいヘアケア・頭皮マッサージ

頭皮環境を整えることも、生え際の後退を抑えるうえで欠かせません。まずは、シャンプーの際に指の腹を使ってやさしく洗い、余分な皮脂や汚れをしっかり落とすこと。爪を立てたり、強くこすったりすると頭皮を傷つけてしまうため注意しましょう。

さらに、毎日のケアに「頭皮マッサージ」を取り入れるのもおすすめです。両手の指先でこめかみや頭頂部をゆっくり押し、円を描くように動かすことで血行が促されます。お風呂上がりの3分間を習慣にすると、頭皮の柔らかさが変わってきます。

育毛剤・育毛シャンプーの活用

生え際の後退が気になり始めたら、育毛剤や育毛シャンプーを取り入れてみましょう。育毛剤には、発毛を促す成分や血行を良くする成分が含まれています。特にミノキシジル配合の製品は、毛根に栄養を届けて発毛をサポートする効果が期待できます。

ただし、これらはあくまで「サポートケア」です。効果を実感するまでには時間がかかるため、焦らず続けることが大切です。

投薬治療

生え際の後退が進行している場合は、医師の診察を受けて「投薬治療」を検討するのも一つの方法です。代表的な治療薬には、外用薬のミノキシジルや内服薬のフィナステリド、デュタステリドなどがあります。

これらはAGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑えたり、毛根の働きを活性化させたりする効果があります。個人の体質によって効果や副作用が異なるため、必ず専門のクリニックで相談し、医師の指導のもとで使用しましょう。

自毛植毛

すでに生え際の後退が進んでいる場合には、自毛植毛といった選択肢もあります。自毛植毛は、自分の後頭部などの健康な毛根を、生え際や薄毛部分に移植する治療法です。自分の髪を使うため、定着すれば自然な仕上がりになり、半永久的に髪が生え続けます。

最近では、傷跡が目立ちにくい技術や短時間で行える方法も増えています。費用はかかりますが、長期的に見れば「確実な改善策」として検討する価値があるでしょう。

生え際後退は進行性のAGAの可能性が高い

説明をする医師

おでこが広がってきた、髪の生え際が下がってきたと感じたら、それは加齢による変化ではなく、進行性のAGA(男性型脱毛症)のサインかもしれません。

AGAは時間の経過とともに少しずつ進行する特徴があり、放置してしまうと生え際から頭頂部へと薄毛が広がっていくことがあります。この現象は、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が毛根に作用し、髪の成長周期を短くしてしまうことが主な原因です。

一度進行を始めたAGAは、自然に治まることはほとんどありません。しかし、正しい知識を持って早めに対策を行うことで、進行を抑えることは十分に可能です。

AGAは早期対策が重要

AGAは進行型の脱毛症であり、時間が経つほど毛根の働きが弱まっていきます。そのため、生え際に違和感を覚えた段階で早期に専門のクリニックを受診することが大切です。

治療方法には、主に内服薬、外用薬を使った注入療法などがあります。内服薬には、ジヒドロテストステロンの生成を抑えて抜け毛を防ぐフィナステリドやデュタステリドなどがあり、外用薬には毛根の血行を促し発毛を助けるミノキシジルなどがあります。

こうした治療は、どれも継続することが大切です。毛根がまだ生きているうちに始めるほど、回復の可能性が高くなります。「少し気になる」その段階で動き出すことが、将来の髪を守る第一歩です。

AGAには根本治療である自毛植毛が最もおすすめ

薬や外用ケアで改善が見られない場合には、根本的な治療として自毛植毛があります。自毛植毛とは、自分の後頭部などの健康な毛根を、生え際や薄毛部分に移植する方法です。自分の髪を使うため拒絶反応がなく、定着すれば半永久的に髪が生え続けます。

最近では、メスを使わない方法も多く、傷跡が目立たない自然な仕上がりを得られるようになっています。また、ダウンタイムも短く、施術後の生活への影響が少ない点も人気の理由です。

生え際への自毛植毛ならアスク井上クリニックのi-SAFEがおすすめ

生え際への自毛植毛ならアスク井上クリニックのi-SAFEがおすすめ

生え際の後退を根本から改善したい方に選ばれているのが、アスク井上クリニック独自の切らない自毛植毛「i-SAFE」です。この方法は、医師の豊富な経験と技術に基づいて開発された、頭皮への負担を最小限に抑えた新しい植毛法です。

i-SAFEでは、従来のようにメスで頭皮を切ることなく、自分の健康な毛根を丁寧に採取して移植します。そのため、自然な仕上がりと高い定着率を両立し、手術後の回復も早いといった特徴があります。

超微細な採取で傷跡が残りにくい

i-SAFEは、髪の太さや毛質に合わせて直径約0.85〜0.65ミリほどの専用パンチを使用し、毛根を一株ずつ正確に採取します。この極めて細い器具によって、頭皮へのダメージを抑えながらも、毛の生着に必要な組織をしっかりと取り出せます。

従来の植毛法では、刃を深く入れすぎると毛根を傷つけてしまうリスクがありました。しかし、i-SAFEは吸引の力を利用して毛根を包み込むように採取するため、毛根の角度がずれにくく、切断率を大幅に抑えられます。

その結果、採取部位の傷跡がほとんど残らず、見た目にも自然な仕上がりが実現できます。髪を短くしても傷跡が目立ちにくいため、日常生活への影響が少ないのも大きな利点です。

科学的根拠に基づくナチュラルな生え際デザイン

生え際の印象は、顔全体のバランスを大きく左右します。アスク井上クリニックでは、ただ髪を増やすのではなく、患者一人ひとりの骨格や額の形、髪質に合わせて自然なデザインを提案しています。

医師が長年の臨床経験から導き出した理想的な毛流れと密度の配置に基づき、一本ずつ丁寧に植え込むことで、誰が見ても自然な生え際を再現。i-SAFEの採取技術により、採取した毛根の健康状態を保ちながら移植できるため、生着率が高く、時間の経過とともに自然なボリュームが育っていきます。

高密度且つ大量の植毛が可能

i-SAFEのもう一つの特徴は、従来よりも多くの毛根を効率的に採取できることです。細かなパンチと安定した吸引システムにより、毛根を傷つけずに大量採取が可能になりました。

これにより、生え際だけでなく、前頭部や頭頂部など広い範囲の薄毛にも対応できます。密度をしっかり確保できるため、髪のボリュームが自然に回復し、全体的な印象も若々しくなります。短期間で普段の生活に戻れることから、忙しい方にも選ばれている治療法です。

まとめ

生え際の後退は年齢だけでなく、ホルモンの影響や生活習慣、精神的な負担などが複雑に関わって進行します。しかし、現在では内服薬や外用薬、自毛植毛など、科学的根拠に基づいた治療法が確立されています。

早期に適切な対策を取ることで、生え際の改善や再生を目指すことは十分に可能です。気になる変化を感じたら、自分で悩みを抱え込まず、専門の医療機関に相談することをおすすめします。薄毛や自毛植毛でもし気になることがある方は、自毛植毛専門のアスク井上クリニックへぜひお気軽にご相談ください。

監修医師

井上 浩一 アスク井上クリニック院長

井上 浩一 アスク井上クリニック院長

経歴

1988年熊本大学医学部卒業
熊本大学医学部付属病院 勤務
1989年某大手美容整形外科クリニック 本院勤務
1998年都内美容外科クリニック 院長就任
2002年植毛クリニック開院
2014年アスク井上クリニック 開院
2022年アスク美容クリニック銀座 開院

学会等実績

日本美容外科学会 / 日本臨床毛髪学会 / 日本頭蓋顎顔面外科学会