「M字はげ」とは、おでこの生え際が両端から後退してアルファベットの「M」のような形に見える状態を指しています。人によっては生まれつきM字のようになっている場合もあり、必ずしも脱毛症とは限りません。
しかし、進行性のAGAや生活習慣の乱れによって、徐々に生え際が後退し、M字になるケースもあります。そのため、生まれつきの特徴なのか、あるいは脱毛が進んでいるのかを正しく把握することが重要です。
本記事では、M字はげの原因や種類、見分け方のポイントを整理し、治療や予防の方法、自毛植毛を含む根本的な改善方法についても解説します。
目次
M字はげの原因・種類
「M字はげ」といっても、その背景には複数の要因が存在するため注意が必要です。
生まれつき額の形がM字型に見える人もいれば、AGAの進行や生活習慣の乱れによって生え際が後退していく方もいます。
原因を正しく見極めることで、誤った対策に無駄な時間やお金を費やさずに済むでしょう。ここでは、代表的な原因や種類について解説します。
生まれつきのM字はげ~富士額~
生まれつきM字型に見える場合は、一般的に「富士額(ふじびたい)」と呼ばれます。富士山の稜線のように緩やかなカーブを描く生え際で、男女問わず見られるのが特徴です。
富士額は、見た目がM字はげに似ているため、薄毛の進行と誤解されることがありますが、これは遺伝的な特徴であり病気や脱毛ではありません。そのため治療の必要はなく、むしろ古くから美人や上品さの要素として好まれてきました。
AGA(男性型脱毛症)
AGAは、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)の影響によってヘアサイクルが乱れ、髪が成長しきる前に抜けてしまうタイプの脱毛症です。
AGAは進行性のため、放置するとM字部分だけでなく頭頂部にまで広がっていき、全体的な薄毛につながる可能性があります。また、AGAが原因のM字はげは10〜20代の若年層でも見られることがあり、決して中高年だけの問題とはいえません。
早期に治療を開始すれば進行を抑えられるケースが多いため、自己判断せず専門医に相談することが重要です。
牽引性脱毛症
牽引性脱毛症は、ポニーテールやオールバックなど、生え際に強い力がかかる髪型を長期にわたって続けることにより起こる症状です。
髪の毛が常に引っ張られる状態が続くと、毛根にダメージが蓄積され、生え際が後退するように見えます。女性に多い傾向がありますが、男性でもヘアスタイルや習慣により発症する場合があります。
このタイプのM字はげは髪型を変えることで改善する場合が多く、必ずしも治療の必要はありません。
生活習慣の乱れ
不規則な生活や栄養バランスの偏り、睡眠不足などは、髪の健康に大きな影響を与えることが知られています。生活習慣の乱れによって血行不良が起こると、毛根に十分な栄養が行き渡らなくなり、髪が細く弱くなった結果として生え際が後退することになりかねません。
日常的な習慣を整えることにより、生活習慣の乱れによる薄毛は予防可能です。
生まれつきのM字はげとAGAの見分け方
鏡を見て自分はM字はげではないかと感じた場合に、それが生まれつきの特徴なのか、それとも進行性のAGAなのかを見極めるのは簡単ではありません。
勝手な自己判断で放置することで、進行性のAGAの治療タイミングを逃さないよう注意が必要です。ここでは、過去の写真や髪の状態など、具体的に確認できる見分け方を解説します。
過去(10代・20代)の写真と比較
自分の過去の写真と現在の写真を比較して、明らかにわかるレベルで生え際が後退している場合は、AGAの可能性を疑った方が良いでしょう。
反対に、過去と現在で変化がほぼなければ、生まれつき生え際がM字型になっているだけだと判断できます。
生え際の毛髪状態の確認(太さ・長さ・ハリ)
生まれつきのM字はげであった場合、生え際の毛を見ると他の部分と同じように太く健康的で、毛量も安定していることがわかります。
一方で、AGAが原因のM字はげの場合、生え際の毛は細く、ハリやコシが失われている場合が多いでしょう。毛量や髪質の変化は進行のサインとなるため、定期的に鏡で確認することが大切です。
生え際の位置~指2本分以上後ろに下がっている~
M字はげの進行を判断する基準として、生え際の位置を確認すると良いでしょう。
一般的に、おでこに指を縦に2本揃えておいたとき、その幅以上に生え際が後退している場合は、AGAによる進行性の脱毛である可能性が高いとされます。
生まれつきの富士額では大きな後退は見られず、形が変化しにくいのが特徴です。
1日の抜け毛の本数を数える
抜け毛は自然な現象で、健康的な人でも1日に50〜100本程度は抜けるため心配いりません。しかし、200本以上と抜け毛が明らかに多く、それが続いているようであればAGAの進行が疑われます。
特にシャンプーをするときや、枕元・洗面台などに落ちた抜け毛を意識的に観察することで、ちょっとした変化に気づきやすくなるでしょう。
両親や母方・父方の親族の生え際を確認する
M字はげは遺伝的要因による影響が大きいと考えられており、親族に同じ症状が見られる場合は、自身にも発症する可能性があります。
特に母方からの遺伝が関与するケースが多く、父方と合わせて確認しておくのが良いでしょう。家族の髪の状態を把握することは、将来のリスクを把握する重要な手掛かりです。
生まれつきではないM字はげ(AGA)の治療法
生まれつき生え際がM字になっている富士額とは異なり、AGAによるM字はげの場合、放置すると確実に進行するため注意が必要です。AGAは自然治癒することはなく、セルフケアだけでは食い止められません。早めに専門的な治療を受けることが重要です。
ここでは、薬を用いた治療や、最新の毛髪再生技術、根本的な改善が期待できる自毛植毛まで、代表的な治療法を紹介します。
AGA内服薬
AGA内服薬を飲むことは、進行を抑えるための基本的な治療法です。
内服薬の主な成分としてフィナステリドやデュタステリドがあり、男性ホルモンの働きを抑制し、ヘアサイクルを正常に戻す働きがあります。
継続的に服用すれば抜け毛が減少し、発毛効果も期待できますが、効果の実感までに数か月は継続しなければなりません。
AGA外用薬
AGA外用薬は、頭皮に直接塗布することで毛根の血流を改善し、発毛を促す効果があります。代表的な成分であるミノキシジルは、毛母細胞を活性化させて毛を太く長く成長させる点が特徴です。
内服薬と併用されることが多く、相乗効果により治療効果が高まるケースもあります。ただし、使用を中止すると再び脱毛が進行する可能性があるため、継続的なケアと医師の指導は欠かせません。
毛髪再生メソセラピー
毛髪再生メソセラピーは、発毛を促進する有効成分を頭皮へ直接注入する治療法です。成長因子やビタミン類、血行促進物質などを配合した薬を細かく注射することにより、毛根の環境を整え発毛を助けます。
外用薬や内服薬で十分な効果が得られない方にも効く場合が多く、より集中的なケアが可能です。
自毛植毛
自毛植毛は、自分の後頭部や側頭部の毛根を採取し、頭髪が薄くなった部分に移植する外科的治療法です。後頭部や側頭部の毛根はAGAの影響を受けにくいため、定着後は自然に成長を続け、半永久的な効果が期待できます。
薬では効果が得られなかった方や、生え際の形を整えたい方に有効で、見た目を大きく改善できる点が特徴です。
M字はげを予防するためのセルフケア
M字はげは遺伝やAGAの影響が大きいとされていますが、生活習慣や頭皮環境の乱れも進行を早める要因です。
そのため、日常的な習慣を見直すことにより抜け毛や生え際の後退を予防し、髪の健康を守れる可能性もあります。ここでは、M字はげ予防に効果的なセルフケアについて具体的に見ていきましょう。
生活習慣の改善
髪を健康的に成長させるためには、規則正しい生活が不可欠です。十分な睡眠をとることで成長ホルモンが分泌され、毛根の働きが活性化されます。
また、栄養バランスの取れた食事は血行を促進し、毛根に必要な栄養が届きやすくなるでしょう。ホルモンバランスの乱れを防ぐために、適度な運動によってストレス解消を図ることも効果的です。
頭皮環境を整える
健康な髪を保つためには、頭皮の環境を清潔にしておき、毛根にダメージを与えないことが重要です。皮脂や汚れが毛穴に詰まると発毛が妨げられ、抜け毛や薄毛の原因になってしまいます。
刺激の少ないシャンプーで頭皮をきれいにし、マッサージで血流を促すことで、毛根に栄養が届きやすい状態を維持できるでしょう。加えて、紫外線ケアも大切です。
M字はげの根本的治療・生え際のデザインには自毛植毛がおすすめ
M字はげを根本的に改善する方法として、現在最も効果的なのが自毛植毛です。投薬治療や生活習慣の改善により薄毛・脱毛の進行を抑えることは可能ですが、すでに失われた部分を元に戻すことは難しいといえるでしょう。
それに対し、自毛植毛は後頭部や側頭部から採取した毛根を移植するため、拒絶反応が少なく、定着すれば自然に成長する点が特徴です。また、近年ではヘアライン矯正の手段としても注目されています。
アスク井上クリニックの「i-SAFE」は、高い技術力とデザイン力を兼ね備えた自毛植毛法
アスク井上クリニックが独自に開発した「i-SAFE」は、従来の自毛植毛法を進化させた最新技術といえます。高い生着率と自然な仕上がりを両立し、痛みや傷跡のリスクを最小限に抑え、理想的な生え際デザインが可能です。
ここでは、技術とデザインを両立させる、i-SAFEの3つの特徴を解説します。
世界最小クラスのマイクロパンチで傷跡をほとんど残さない
使用されるマイクロパンチは、世界最小クラスの極細サイズで設計されています。従来の方法のように頭皮を切開する必要がなく、繊細な処理が可能です。
そのため、毛根を採取する際に頭皮への負担が少なく、術後の傷跡が目立ちません。短い髪型にしても自然に見えるため、植毛だと気づかれにくい点も特徴です。
科学的根拠に基づく生え際デザインで自然な仕上がりを実現
自毛植毛では、単に髪の毛を増やすだけでなく、生え際のデザインが幅広いことも特徴です。i-SAFEでは、骨格や顔の形、髪質などをデータに基づいて分析し、それぞれに最適なヘアラインを設計します。
科学的根拠を取り入れたデザインにより、施術後の仕上がりが本人の顔立ちに自然になじみ、若々しい印象を与えられる点が強みです。
陰圧吸引で毛根へのダメージを抑え、高い生着率を実現
i-SAFEの大きなメリットの一つが、毛根を採取する際に採用されている「陰圧吸引」の技術です。強い力で毛包を引き抜くのではなく、陰圧によって毛根を優しく吸引する方法で、物理的なダメージを最小限に抑えられます。
それにより毛根の状態が良好に保たれ、移植後の定着率が高い点が特徴です。
アスク井上クリニックのi-SAFEについてはこちらの記事でも解説しています。
当院独自の植毛法 i-SAFEとは
まとめ
生まれつきM字型の生え際になっている場合と、AGAや生活習慣によるM字はげは原因や進行の仕方が異なるため、適切な判断と対策が欠かせません。進行性のAGAを防ぐには専門的な治療が必要になりますが、その中でも自毛植毛は自然な仕上がりと持続性が期待できる方法です。
もし少しでも気になる点があれば、植毛・自毛植毛専門クリニックのアスク井上クリニックの無料カウンセリングをご活用ください。