自毛植毛手術後はワックスをつけられるか

このコラムでは専門的な意見だけではなく、自毛植毛に関す素朴な疑問にも答えていきたいと思います。自毛植毛は広く一般に知れ渡っているという知名度ではまだありません。そのため実は間違っているという知識が広まってしまっている点もないわけではありません。もし当コラムによる情報が多くの方の目に留まり、正しい自毛植毛の知識となっていただければ幸いです。

自毛植毛手術後には本来問題ないと思っていたものがだめであったり、反対に難しいと思っていたものが大丈夫だったりすることがあります。これは自毛植毛手術に限らず、全般的な手術にいえることですが、手術前には余計な心配事が少ない方がいいものです。

人間というものは本来の精神状態を維持するにはできるだけリラックスする必要があります。そうでなければ正常な判断ができないばかりか、時として思考が鈍ることにより判断の妨げになってしまうことだってあるのです。

今回のテーマは整髪料についてです。これについてもずっと気になっていたのだが、実際に診察のときには聞くのを忘れてしまったということもあれば、些細なことのようで聞きにくいという人もおりました。このような知識こそ当コラムで補完していただければと思います。

整髪料は大丈夫

自毛植毛は人工毛植毛と違い、自分自身の髪の毛が再び生えてきます。つまりは、整髪料や育毛剤、ヘアトニックをこれまで通り問題なく使えます。
それから、それだけではなくパーマやカラーも使ったヘアスタイルも自由にできるのです。

それはつまり、かつらや増毛、人工毛植毛は、人工的な義髪のため、整髪料もパーマもカラーリングも出来ないということになります。人工的な髪は切れたり折れ曲がれば終わりです。日々のケアもより丁寧にしなければいけません。ということはメンテナンス費用もかさみます。

 

自毛植毛について

自毛植毛後の髪は自然のままの自分の髪の毛です。そのためもちろん、シャンプー、整髪、カット、スタイリング、カラーリングなど普段どおりにできます。
そして術後の違和感や長期の後遺症はなく、定期のメンテナンスもランニングコストもまずかかりません。植毛は、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)」に書かれてある通り、AGAへの対策等として効果が認められています。

 

 

自毛植毛について

メリットは様々ありますが、一番の利点は、自分の毛を使うので拒絶反応が極めて起きにくいということです。植えた髪の毛は生涯にわたり自毛として生着します。

そして人工毛やカツラは定期的なメンテナンスが不可欠なのです。しかし、自分の髪の毛を使った植毛はそういうわずらわしいことは不要。このように、しっかり移植した髪は成長します。髪が増える、伸びるという変化を楽しめますし、様々なヘアアレンジなどもできます。言うまでもなく整髪料やカラー剤も使えます。

それから外用薬、内服薬との違いですが、これらを使っても毛根のない場所に毛が生えてくることは絶対にありません。しかし自毛植毛は薄毛の気になる場所ならどんな場所でも毛をしっかり生やすことができます。つまり、事故や病気などで毛根がなくなり悩んでいる方への治療としても選ばれているのです。

カツラや人工毛では無理な自然な仕上がりが自毛植毛の最大のメリットといえます。毛髪は自分のものを移植しているので、髪は他の毛と同様に生えそろいます。もちろん生えた後も他の毛髪と差変わりません。

 

まとめ

整髪料は自毛植毛後であっても問題なく使用できることが分かりました。念のため、術後すぐの使用はおすすめしていません。ケースによりますが、半年から1年ほど待つのが無難でしょう。

 

監修医師

井上 浩一 アスク井上クリニック院長

井上 浩一 アスク井上クリニック院長

経歴

1988年熊本大学医学部卒業
熊本大学医学部付属病院 勤務
1989年某大手美容整形外科クリニック 本院勤務
1998年都内美容外科クリニック 院長就任
2002年植毛クリニック開院
2014年アスク井上クリニック 開院
2022年アスク美容クリニック銀座 開院

学会等実績

日本美容外科学会 / 日本臨床毛髪学会 / 日本頭蓋顎顔面外科学会

井上 浩一 アスク井上クリニック院長

坂本 有孝 アスク井上クリニック副院長

経歴

2000年3月久留米大学医学部卒業
2000年4月久留米大学病院(形成外科)勤務
2005年7月国立病院機構九州がんセンター(形成外科)勤務
2006年7月久留米大学病院(形成外科 助教)勤務
2009年7月済生会福岡総合病院(形成外科 主任医長)
2012年4月済生会福岡総合病院(形成外科 主任部長)
2013年4月某大手植毛クリニック福岡院 院長
2015年4月某大手植毛クリニック新宿本院 院長
2023年7月アスク美容クリニック銀座院長就任
2025年4月アスク井上クリニック副院長就任

学会等実績

日本形成外科学会認定専門医 / 日本臨床毛髪学会会員