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まだある人工毛植毛

Q:人工毛移植を10年来してきたため、かなりボコボコしておりますが、このような状態でも自毛植毛は可能でしょうか?

A:人工毛が残っていると、異物反応や感染を繰り返しているため、もともと生えているはずの毛まで生えない状態となっています。この状態では自毛移植してしても生えにくいので一旦根っこから抜いてしまう必要があります、人工毛の根っこはクリニックよって形状が異なっているため、抜去は人工毛をいれたクリニックで行うのが一番確実なことが多いですが、どうしても無理なら当院でも可能です。抜去と同時に同一箇所への移植はあまりおすすめできません。抜去後1ヶ月程度はあけていただいたほうがいいと思います

 

植毛手術後のミノキシジルをお勧めする理由

Q:植毛手術後はしばらくミノキシジルを飲んだ方がいいですか?

A:移植毛の「生着(根付くこと)」そのものには大きく影響しませんが、術後の「ショックロス」を抑え、回復を早めるために、4ヶ月程度の服用は非常にメリットがあると考えられます。

【理由】 体にとって、手術で受けた「傷の修復」は生命維持における優先度が高い作業です。一方で「髪を成長させること」は優先度が低いため、術後は一時的に髪へのエネルギー供給が後回しになり、既存の毛が抜ける「ショックロス」が起こります。 ミノキシジルはこの「生体の優先順位」に関わらず、毛根に直接「成長のスイッチ」を入れるフルブーストの役割を果たすため、ショックロスを軽減し、元の状態への回復を劇的に早める効果が期待できるのです。

 

元の毛穴に植える「自毛植毛」

― さらなる高みを目指すための医学的根拠 ―

自毛植毛において、現代の一般的な手法(適当な場所に穴を開けて植える方法)であっても、正しく行えばそれなりの生着率が得られる段階にあります。 しかし、アスク(ASC)が「元の毛穴に植える」ことにこだわるのは、そこからさらに一歩進んだ、より質の高い結果を追求するためです。

1.既存の血管網を活かし、生着をより「早く・容易に」

一般的な方法では、移植毛のために毛細血管網をゼロから作り出す必要があります。 対して「元の毛穴」には、すでに完成された血管網が存在します。 そこに植えることは、既存の血管網に再接続されるだけで済むことを意味します。 これにより、生着がより早く、かつ容易になり、標準的な方法以上の確実な結果が期待できるのです。

2.生着スピードが「髪の質」を左右する

生着に時間がかかると、頭皮での感染や炎症のリスクが増大します。 これらは単なるトラブルに留まらず、将来的に「ひどいくせ毛」が生じる原因にもなり得ます。 元の毛穴を活用し、素早く生着させることは、新しく生えてくる髪をより自然で健康な状態に導くための鍵となります。

3.「本物の毛穴」だけが持つ生体防御機能

どんなに正確に頭皮を穿孔しても、作られた穴は「傷跡」であり、本物の毛穴にはなれません。 本来の毛穴には、立毛筋・皮脂腺・汗腺といった「生体防御ユニット」が備わっています。 これらは、髪と頭皮を健やかに保つために不可欠な機能です。 元の毛穴をそのまま利用することで、これらの機能を損なうことなく、移植毛を健やかな環境に置くことができます。

4.既存の毛と地肌へのダメージを最小限に

「産毛ですら既存毛として避けて植える」という手法は、一見、密度を高める良策に聞こえますが、医学的な矛盾を孕んでいます。

● 血流分配の最適化

もともとの髪の密度は、血液の供給量に合わせて最適化されています。そこに過剰な密度を強いることは、生物学的に困難です。

● 線維化のリスク

無理な穴あけは、周囲に「瘢痕(傷跡)の線維化」を引き起こします。 これが元々の毛穴にある毛細血管まで破壊してしまい、周囲の毛をダメにするリスク(ASCが「元の毛穴に植える」ことにこだわるのは、結果の質と将来を見据えた安全性を追求しているからです。既存毛の消失)を生みます。

生え際こめかみは1本毛?

いまだなお世界中の植毛医は「生え際は一本毛」と得意気に言っていますが、これに科学的根拠はありません。
生え際は徐々に「細く長くならない毛」になり最終的には産毛となっていくものです。
植毛を考えるとき産毛の植毛はあまり現実的ではないですが、「細く長くならない毛」は植えたいわけです。
その材料は決して一本毛などではなく、当院では「ネイプヘア」を利用しています。
ネイプとはうなじです。
うなじの毛は一本毛か二本毛かという本数の問題ではなく、細く長くならないと言う意味で生え際やこみかみを自然に仕上げるのに適した材料といえます。
難点はこの細い毛をダメージなく引き抜くのは難しく、そのため他院ではここは避けているわけですが、当院ではそれを積極的に使っているというわけです。
一般の毛の切断率が限りなく0にちかい当院の手法においてネイプヘアは有効な材料と言えます。

グラフト作成の実態

以前からたまに他院修正で来院される方で、例えば1000グラフト行ったと言う話だが、採取部分を見ると500グラフト程度しかとってないことがあります。
生えて来ている毛も500グラフト程度なので、実際より多く言われたのかというと、よく植えた部分を見ると、生着が悪かったようにみえます。
つまり確かに1000グラフト植えたことは植えたのでしょう。
これはどう考えられるか、それが株分けです。
採取を3本毛とって、1本毛と2本毛に株分けをして数を増やしているのでしょう。
一見効率のいい方法に見えますが、この株分けが一歩間違うとグラフトに甚大な損傷を与えて、生着率を下げてしまうことにつながります。
当院では株分けは原則禁止、どうしても必要なときも最小限にとどめています。

ネイプを植え込む孔は

ちょっとマニアックになりますが、
孔開けには、ラインスリット、ニードルスリット、マイクロホールがあります。
実際、今世界中で最も使われているのはラインスリットかもしれません。
ただこの細いネイプを植え込むには、ラインスリットにそのまま挿入するとグラフトを傷めてしまうかもしれないので、少し押し開いて挿れることになります。
一方ニードルスリットなら、開けた時点で少し押し開いているため最も好都合です。
結局当院では25ゲージという注射針を使ってニードルスリットを開け、開けたらすぐに挿れるようにしています。
したがって、ラインスリットでサクサク開けるのとはちがい時間がかかりますが、グラフトの損傷を最小限にできます
ちなみによくやられるグラフトの毛根部分を把持して詰め込む方法はグラフトをとても傷めるため当院では禁止しています。

採取部分はどうとるか

多くのクリニックでこの採取部はわりと雑に扱われているところではあり、術後に採取部がはがき状に薄かったり、円形脱毛でもあるのかと思うくらい偏って採取してあったりするのをよく見かけます。
患者さんもそういうものかと諦めているのかもしれませんがそうではないのです。
これは医者がきれいに仕上げようと思う気持ちがあればある程度は防げるリスクなのです。

採取部分の決定で考えることはまず2つ、一つはできるだけ傷跡を分散させるためにも広範囲とする、もう一つはできるだけ狭くして最終部分を隠しやすいようにすることです。
この相反する要素を患者さんとの診察ですり合わせをやっていくことになります。
また、分散することが容易なアンシェーブンという方法がありますが、それでもあまり広範囲だと麻酔の量も増えたりしてやはりすり合わせは必要です。
採取時はできるだけ均等に採取すること心がけ、取りやすいとこからどんどん取るという他院でよく見かける乱獲は絶対にしてはいけないことですね。

また、他院手術後かなり採取部分が悲惨になっている場合もある程度は修正できます。
方法は、やはり移植、ドナーがどうしても足りないならヘアタトゥーとなります。

切断率低減のアイデアと応用

FUE(Follicular Unit Extraction切らない採取法)で問題となることの一つに、採取時の切断率の高さがある。SS(Strip Surgery切る採取法)では、株の作成を直視下またはマンティス顕微鏡下で行うため、切断率は5%程度に収まっているのに対して、FUEでは見えない毛根を、表面の毛幹の角度等をみて予測し採取するため、その切断率は20%近くにおよぶと言われている。様々な対策が考案されているが、どれも大きな改善は得られていない。

当クリニックのi-SAFE(Inoue`s Suction Assisted Follicular Extraction)では、①吸引を使う②特別に切れるパンチを使う③専用に設計された機械を使うことにより、浅い刃入れ(3mm程度)でも採取が可能となり、切断率を1%以下にすることに成功している。

この技術により、採取に用いるパンチのサイズを0.83~0.65mmにすることができ、株の生命力を低減するトリミングを省くことが可能となる。また今までは1本毛を使用したいときには株分けが必要であったが、2~4本毛から1本だけを採集するというスプリット採取を可能にしている。さらに今までは困難と考えれていたネイプヘア(うなじの毛)の採取も可能となり、以前は生え際最前列は1本毛と考えられていた部分に、ネイプヘアを使うことでより自然な生え際を実現できるようになってきた。

FUEのもう一つの問題点であったメガセッションのためには広範囲に剃毛が必要となる部分に関しても、この技術により、その切断率に全く影響しないで、剃毛無しで広範囲から採取できるようになった。現在当院では3割の方がこのアンシェーブンを受けている。

今回は主として採取時についてであるが、また生着率に直接影響を与える株の生命力を左右する要因は、採取時だけでなく、移植部作成と移植時にも関係する。これらについての改善の私の取り組みについては、後日

アンシェーブンの割合

前回に引き続き、最近の手術の傾向です。アンシェーブンの割合が3割程度になってきました、一時ハイブリッドの方が多かったのですが、最近は単独のアンシェーブンの割合が増えてきたのです。なぜなのかについて分析していませんが、キャンペーン価格とかを続けてきたためかもしれませんし、実際、価格やかかる時間以外での欠点が少ない方法ではあります。以前のクリニックにいた頃よりこの考案した「刈らない」方法の推進者ではありましたが、開業してからは、たくさんのアイデアでソフィスティケートしたアンシェーブンを行うようになり、それの結果が少しず評価されてきたためかもしれません。本格的にパワードFUEでのメガセッションを考案した時も、今からの需要は「切らない」になっていくと確信したのと同様に、この「刈らない」も今後の主流になり得る手法ではあります。アンシェーブンなら、単に術直後でも目立たないだけでなく、ドナー範囲は精一杯広く設定でき、それだけキズを分散できるのです、さらにネイプヘアのような産毛に近い髪さえも選択枝に含める事ができ、いっそうのナチュラルさをもとめることができます。

一毛入魂(及び求人)

このコラム、一般形成のドクターもみて参考にされているとご質問等のメールをいただくことが何度かありました。そこで植毛従事者における「植毛とは」について述べてみたいと思います。
元々この植毛という手術は、研修医でもやれるほど簡単な手術ではあります。しかしその結果には、施術者により大きな差があるものです。それを左右するものはなんでしょう。経験年数でしょうか、手術数でしょうか、手術法あるいは手先の器用さでしょうか。多くのドクターに教えてきた経験からはどうもそういうものではない気がします。つまり、わりと経験が浅いドクターでもそこそこの結果を出せる人がいますし、その逆も多々あります。結局、技術はさほど難しくないこのような分野では、「心」が大きく関わってきてしまうのです。完璧にしたい心、慢心することなく、昨日より今日、今日より明日はもっと上手くなりたいと思う心、何とか毛を増やし幸せを届けたいと願う心。教えを受け入れる謙虚さと科学的考察、それを改良していこうとする独創性、そして知識に裏打ちされたセンスです。私の場合手術中に繰り返し念じるのは「一毛入魂」です。ちなみに、これらのことは植毛の場合は看護師もその結果に大きく関わっているため同様に言えることです。
もちろん、「心」だけではだめです。その上に、既存のものには常に疑問をもち留まることなく、よいと思える新たなものにも挑み、経験と知識を積み重ねていくことです。新たな技法を思いついても、患者さんで試さず脳内で試すのです、全てに矛盾がなければその仮説は当たらずとも遠からずです。もし、結果がおもわしくないなら、他のせいにして逃げず原因を一つ一つ潰していくことです。そういう念いから、自分に厳しく明日からも精進していかなくてはいけません。

補)現在(2017年12月9日時点)、当院は私一人で手術をしており更に想定している手術時間が一般的手法の倍なため可能な手術数に限界があります。「心」を持って取り組んでいただける医師看護師のかた、一緒にやりませんか。現在の科は問いません。(御連絡は当院事務局長阿部まで)