Q1:薄毛レーザー治療にフラクショナルレーザーと低出力レーザーとありますが、どういう違いがありますか?
Q2:薄毛のレーザー治療は効果ありますか?
A1:その作用機序を考えると全く別物です。そもそもフラクショナルレーザー(例えばフォリックスレーザ)はチクチクといたいですが低出力レーザーLLLTに痛みにはありません。
フラクショナルレーザーはマイクロニードルとも通じる方法で小さい傷をつけて、低酸素状態をつくり、これにより、この危機的状況を乗り切るためにサバイバルモードにはいります、つまり酸化的リン酸化から乳酸解糖でATPをつくるようになるのですが、ここでの乳酸蓄積がメッセンジャーとなってマクロファージなどから成長系のサイトカインを出させ(乳酸は、低酸素応答因子であるHIF-1αというタンパク質を安定化させます。HIF-1αが活性化すると、マクロファージは「ここは酸素が足りず、ピンチだ。早く組織を修復してインフラを整えなければ」と判断し、抗炎症・組織修復を担うM2型へと極性転換します。)また一方で毛包幹細胞を直接活性化して、休止期から覚醒することになり、これらが発毛のアクセルを踏むことになる
それに対してLLLTではミトコンドリア膜のCCOがNOによるATP産生制御がある状態で、光(650nm付近の赤色光)がCCO内のFeを励起して強制的にNOが外れると 酸素が結合できる状態となり酸化的リン酸化がすすみATPが増産されるその時に放出されるミトコンドリアからの微量ROSがメッセンジャーとなり細胞膜にあるPI3Kを動かすとAkt経路が起動する、 Aktの活性化は、GSK-3βの活性を抑制します。これによりβ-カテニンが安定化し、毛乳頭細胞における毛周期の成長期維持(Wnt経路の強化)に寄与し、結果成長のブレーキを排除してアクセルを踏み込むことになります。
毛包のミトコンドリアにこの光が届く必要があります。通常のLEDでは光は拡散して到達に十分なエネルギーがでないため、買うときには直進性の高いレーザーダイオードLDを使っているものを選んでください。
A2:効果に関しては、原理的に効果が期待できますが、どちらも単独での劇的効果はないようです。既存の自毛植毛も含めた発毛治療の補助的に考えるのがいいでしょう。
用語解説
乳酸解糖/HIF-1α:通常、細胞は酸素を使って効率よくエネルギーを作りますが、フラクショナルレーザーで微細な傷がつくと、一時的に酸素が足りない低酸素状態になります。この時、HIF-1αというタンパク質が安定化し、サバイバルモードを起動。エネルギー(ATP)を作り出すのに乳酸を作り出す代謝(乳酸解糖)を利用するようになります。
ここで乳酸が単なる老廃物ではなく、組織を再生させるための司令塔として機能します
マイクロニードリング:皮膚に極めて微細な穴を開ける治療法です。
フラクショナルレーザーは光の熱でこれを行いますが、物理的な針(ダーマペンなど)を用いる手法と原理は共通しています。
あえて傷をつけることで、人間が本来持っている創傷治癒機転(傷を治そうとする力)を強制的に引き出し、毛包周辺の成長因子を爆発的に増やします。
マクロファージ極性転換:免疫細胞であるマクロファージが、役割を「攻撃」から「修復」へ切り替えることです。
炎症初期のM1型(攻撃・炎症担当)から、HIF-1αや乳酸の刺激によってM2型(鎮静・組織修復担当)へと変化します。
このM2型マクロファージが放出する成長因子が、毛包の再生を強力に後押しします。
CCO(シトクロムc酸化酵素):CCOはミトコンドリアの中でエネルギーを作る最終工程を担うエンジンです。
通常、ここにNO(一酸化窒素)がくっつくと、エンジンの回転にブレーキがかかります。
低出力レーザー(LLLT)の光は、このCCOとNOの結合を解除する特殊な力を持っています。
酸化的リン酸化:ミトコンドリアで行われる、酸素を利用した極めて効率的なエネルギー産生システムです。
LLLTによってNOというブレーキが外れると、この酸化的リン酸化がフル回転し、細胞の活動源であるATPが大量に供給されます。
Akt(アクト)経路 /GSK-3β/PI3K:細胞の生存と成長を司るリレーのような伝達経路です。
LLLTの刺激でPI3Kという酵素が動くと、Aktが活性化されます。
活性化したAktは、毛の成長を邪魔するGSK-3βという物質の働きを封じ込めます。
これにより、次に説明するWnt経路が安定して働けるようになります。
Wnt(ウィント)経路/β-カテニン:毛根に「髪を作れ」と命じる、発毛のマスター・スイッチです。
β-カテニンというタンパク質が分解されずに細胞の核へ入ることで、毛周期が成長期へ移行・維持されます。
LLLTはこのスイッチがオフにならないよう保護する役割を果たします。
ROS(活性酸素):一般的には老化の原因とされる悪玉ですが、微量であれば細胞内の重要な「通信信号」として働きます。
LLLTによって瞬間的に発生するごく少量のROSが、細胞に刺激を与え、Akt経路などの生存シグナルを動かすトリガーとなります。
NO(一酸化窒素)の役割:生命を維持するガス状の伝達物質
NOは、私たちの体内で絶えず作られている極めて寿命の短いフリーラジカルの一種ですが、他のフリーラジカルが「制御不能な暴徒」だとすれば、NOは電荷を持たない「無極性」のガス分子であり「特定のターゲットにだけ極秘指令を届け、速やかに自爆して証拠を隠滅する熟練のエージェント」のような存在です。
- 超高速伝達物質として
通常のホルモンや情報伝達物質は、細胞の表面にある「受容体(鍵穴)」に結合して情報を伝えます。しかし、NOはガス分子であり、かつフリーラジカルとして非常に高い拡散性を持っているため、細胞膜をスイスイと通り抜けて隣の細胞へ直接侵入できます。受容体を介さず、細胞内部の酵素にダイレクトに働きかけることができるため、他の物質では不可能な「超スピード」での命令伝達が可能になります。血管を瞬時に広げるなどの緊急性の高い反応には、このNOの性質が不可欠です。 - 外敵を焼き払う「生物兵器」として
免疫細胞(マクロファージなど)がNOを作る目的は、純粋にその攻撃力を利用するためです。
高濃度のNOを細菌やウイルスに浴びせかけることで、外敵の代謝を破壊し、文字通り焼き払います。ここではフリーラジカルとしての「毒性」が、体を守るための強力な武器として機能しています。 - 生命のエンジンの「回転数制御」
ミトコンドリアの件も同様です。エネルギーを作りすぎると、かえって活性酸素が増えて細胞がダメージを受けます。NOがミトコンドリアの酵素(CCO)に適度にくっつくことで、「今は作りすぎだから少し休め」というフィードバックをかけ、細胞のオーバーヒートを防いでいます。
最近はLLLTのデバイスが安価となっていますので、自宅で自毛植毛後だけでなく日頃の育毛にも使えると思います。
カテゴリ | 価格帯(目安) | 光源の構成 | 特徴と臨床的立ち位置 |
ハイエンド(医療級) | 15万円〜40万円 | LD 200〜300個以上 | 照射密度が極めて高く、短時間(6分程度)で完了。信頼性は高いが、患者負担も大。 自宅用としてはHairMax(ヘアマックス、)Capillus(カピラス)など |
ミドルレンジ(普及型) | 6万円〜12万円 | LD+LEDのハイブリッド | iRestore、等が代表的。LDで芯を叩き、LEDで周辺の血流を補う。バランス型。 |
エントリー(中国製LD) | 2万円〜4万円 | LD 80〜120個程度 | AliExpress等で流通。構造は単純だが、650nmのLDを搭載していれば物理効果は期待できる。 |
超安価(LEDのみ) | 数千円〜1万円 | LEDのみ | NG。 表皮で散乱し、毛乳頭まで届かないため、育毛効果は極めて疑わしい。 |