薄毛治療における成長のアクセルとブレーキ解除

さまざまな薄毛治療が市場に氾濫しています、メカニズムから考えた私の独断なガイドラインです。

薄毛治療において、多くの人が「何を足せば生えるか(アクセル)」ばかりに目を向けがちです。しかし、どれだけアクセルを踏んでも、強力なブレーキがかかったままでは車(髪)は前に進みません。逆に、ブレーキを外すだけでは、経年劣化したエンジン(毛包)は力強く動き出しません。

重要なのは、「ブレーキの解除」と「アクセルの開放」両方が必要で、そして細胞のポテンシャルを再起動させる「エピジェネティックなリプログラミング」を組み合わせることです。

従来の治療が「ホルモンをブロックする」「成長因子、サイトカインを出す」という物理的・化学的なアプローチだったのに対し、最新の治療(MNC-QQやエクソソームなど)が狙うのは、細胞の「情報の書き換え(エピジェネティクス)」です。

加齢やダメージによって「眠ってしまった発毛スイッチ」を、miRNA(マイクロRNA)などの情報伝達物質を用いて再びONにする。これは単なる対症療法ではなく、毛包の若返り(リプログラミング)を目指す次世代の戦略と言えます。

 

 

具体的な手段

ブレーキ解除

アクセル開度

エピジェネティック効果

副作用・デメリット(代償)

 

フィナステリド

デュタステリド

★★★★★

 

 

性機能低下、肝機能障害、メンタルへの影響、PSA値のマスク。

ただしAGAのみ

 

ミノキシジル内服

★★★★★★★★★★

 

動悸、むくみ、心血管系への負担。

 

ミノキシジル外用

 

★★★

 

濃度より活性型か否かで差が出る、頭皮の炎症

 

エクソソーム

★★★

★★★★★

★★★

高額な費用。製品によるmiRNA**の含有量・品質のバラツキ。

 

幹細胞培養上清液

★★

★★★

 

高額な費用、製品のばらつき

 

PRP

★★

★★★

 

高額な費用、自己血液の状態に効果が左右される。

 

マイクロニードリング

フラクショナルレーザー

 

★★★

痛み、赤み(ダウンタイム)。感染リスク、

 

MNC-QQ療法**

★★★★

★★★★★★

★★★

高額な細胞加工費用。施設が限られる。

 

LLLT

 

★★

 

単独での効果を感じにくい

 

スピロノラクトン

 

 

利尿剤としての副作用高カリウム血症 AGAのみ

 

ニゾラールシャンプー

 

 

あくまで脂漏性湿疹の管理が主

 

このガイドラインから分かる通り、最強のアクセル(ミノキシジル内服)にはそれなりの代償(副作用)があり、高度なエピジェネティック治療(MNC-QQ等)には高額なコストが伴います。

自分の薄毛のタイプ、予算、そして許容できるリスクのバランスを考え、「どのブレーキを外し、どのアクセルを踏むか」という独自のポートフォリオを組むことが、遠回りのようでいて、最短のゴールへの道筋となります。

 

 

**miRNA(マイクロRNA): 細胞内でのタンパク質合成を調整する「指揮者」のような物質。これがエピジェネティックな変化の鍵を握る。

**MNC-QQ療法とは: 自身の血液から特定の細胞を取り出し、質と量を高めて(Quality & Quantity)から戻す、再生医療の進化形。

 

投稿者プロフィール

井上 浩一
井上 浩一アスク井上クリニック 院長
経歴
1988年 熊本大学医学部卒業
熊本大学医学部付属病院 勤務
1989年 某大手美容整形外科クリニック 本院勤務
1998年 都内美容外科クリニック 院長就任
2002年 米国での自毛植毛研修を経て、植毛クリニック開院
2006年 某大手植毛クリニック 院長就任
2014年 アスク井上クリニック 開院