長年、手術と薬の併用治療を推薦して参りましたが、その理由は、薬だけでは、一時的に良いようでも、満足いく状態を維持できない、かといって、手術にも限界はあるとのことからです。単独療法に比べたら満足度の高いものです。しかし、この薬が問題です、長期連用することになるのですが、なかなか効果を維持できないだけでなく、副作用の問題が浮かび上がってくるということです。それはあまり問題にならないものが大半ですが、少なからず存在しています。そして、中にはイリバーシブルなことも。
私は、主としてアンチエージング(抗老化)、あるいは男女の更年期障害治療、ボディービルなどの目的で、ホルモン補充療法を行っていたことがあります。この時使用するホルモンのうちでも、成長ホルモンは、使用していると、確かに髪の毛の質量増加があります(つまり、抜けずに太くなる)。これは、直接的にはメッセンジャーである種々の成長因子GFが関与していることは間違いないことです。このホルモン補充療法は、糖尿病インスリンの注射のようにご自身でほぼ毎日注射が必要なこと、費用がとても掛かること、さらには、副作用を含めた投与量の管理が大変であるため(また、ドーピングにも引っ掛かります)、薄毛治療の目的のためには現実的ではないでしょう。
バイオ技術が進歩して、比較的容易に成長因子GFを精製できるようになりました。注射ではなく低侵襲で毎日でも出来る方法も確立されてきましたため、だからこそ、従来の薬に代わるものとしていま成長因子グロースファクターなのです。すなわち、手術とグロースファクタ-(時として従来の薬)の併用療法こそが、望ましい薄毛治療といえます。