出産後に抜け毛が増えました。どうすればいいですか?

出産後ホルモンストレスとリソース分配優先性によって起こる一種のショックロス様抜け毛です。放置してても6〜12ヶ月で自然回復しますが、自律神経過敏または抗ストレス感受性低下が生まれながらにある方は、完全回復にいたらず休止期毛がふえ薄毛となることがあります。
ではどうするか、授乳中なら外用でも使いにくいかもしれません、そのため生活環境をできるだけ整え、リソースも授乳や子宮の回復につかわれるため栄養管理も大切になります。ちなみに葉酸は出産後も飲んだほうがいいのかも。授乳が終われば薬や手術での治療が可能となります。 
授乳中でも使用可能なサプリ「産後リカバリー・ヘアセット」
ベース: ヘム鉄 + 葉酸(まずは赤字を埋める)
ブースト: クレアチン(エネルギーに余裕を作る)
ナイトケア: グリシン(修復効率を上げる)

術後ショックロスの対策

植毛手術後の「ショックロス防止」と「生着率の最大化」という目的において、生物学的ロジック(エネルギー供給、DNA合成、物流確保)から導き出される、理にかなったサプリメント・薬剤の構成を整理します。

大きく分けて、「エネルギー供給」「建材の確保」「物流の改善」の3つの軸で考えると効果的です。

  1. エネルギー供給・細胞保護軸(ショックロス防衛)

手術後のダメージを受けた毛包を「ガス欠」から救い、休止期入り(疎開)を防ぐためのセットです。

  • クレアチン:
    • 理由: 術後のエネルギー争奪戦において、ATPを即時再生する予備バッテリーとして機能します。毛包が休止期に逃げ込むのを物理的に踏みとどまらせるための「軍資金」になります。
  • 還元型コエンザイムQ10(CoQ10):
    • 理由: ミトコンドリアの発電効率を上げ、同時に手術による酸化ストレス(ROS)を中和します。エネルギーを作りながら現場の火消しも行う、術後には必須の成分です。
  1. DNA合成・組織構築軸(超高速増殖のサポート)

毛母細胞が猛スピードで分裂し、新しい髪の毛(ケラチン)を組み立てるためのインフラです。

  • 葉酸 + ビタミンB12:
    • 理由: 妊婦さんと同じロジックです。爆速で行われるDNAコピー(分裂)のミスを防ぎ、製造ラインを止めないための「物流トラック」と「現場監督」です。
  • グリシン(またはコラーゲンペプチド):
    • 理由: DNAの骨格を作る材料であり、毛包を支えるコラーゲンの主要成分でもあります。また、体内のクレアチン合成を助けるベースにもなります。
  • 亜鉛:
    • 理由: タンパク質合成(ケラチン化)の際に、数百種類の酵素の「鍵」として働きます。材料があっても、この鍵がなければ髪の毛という形に組み立てられません。
  1. 物流・シグナル軸(補給路の太線化)

栄養とエネルギーを現場まで確実に届けるための「道路」の整備です。

  • L-シトルリン:
    • 理由: 一酸化窒素(NO)を増やして血管を拡張し、血流という補給路を太くします。副作用の少ない方法で、末梢の毛細血管まで酸素と栄養を送り込みます。
  • ミノキシジル(外用・内服):
    • 理由: 強力な「成長指令」を出します。ただし、これまでのロジック通り、クレアチン等でエネルギー供給を整えた上で使うことで、より安全にアクセルを踏むことができます。

戦略的な摂取プランの例

フェーズ

重点を置くべきもの

目的

術前〜術後2週間

クレアチン、CoQ10、グリシン

ショックロスの回避、生着率の向上(守り)

術後1ヶ月以降

葉酸、亜鉛、シトルリン、ミノキシジル

成長スピードの加速、髪の質の向上(攻め)

結論

理屈からすると、単に「ミノキシジルを飲む」という一点突破よりも、「クレアチン + CoQ10」で細胞の体力を底上げしつつ、「葉酸 + グリシン + 亜鉛」で資材を揃えるという包括的なサポートが、植毛後のデリケートな毛包にとって最も「優しい」かつ「効果的な」アクセルになると言えます。

 

髪の「電力不足」を救え

――クレアチンは、毛包のハイオク燃料になれるか?

「筋トレをするとハゲる」「クレアチンを飲むと毛が抜ける」……。フィットネスジムの片隅で囁かれるこの噂は、長年、トレーニーたちを震え上がらせてきました。しかし、細胞生物学のレンズで覗いてみると、そこには全く逆の、エネルギッシュな真実が隠されています。

毛母細胞は「不夜城の突貫工事」

私たちの頭皮の下では、毛母細胞という名の作業員たちが、12時間から24時間という殺人的なシフトで分裂を繰り返しています。これは骨髄や小腸の細胞に匹敵する、生体内でもトップクラスの過酷な現場です。当然、そこでは「ATP(アデノシン三リン酸)」という名の通貨が、湯水のように消費されます。

ここで登場するのがクレアチンです。彼は、消費されたATPを瞬時にリサイクルする「高効率な発電機(クレアチン・キナーゼ回路)」として機能します。現場の資金(エネルギー)が潤沢になれば、工事(発毛)は滞ることなく進みます。つまり、クレアチンは毛包にとっての「ハイオク燃料」なのです。

「命令」だけではエンジンは回らない

発毛界の絶対王者、ミノキシジル。彼は毛根に対して「休んでる暇はない、今すぐ髪を作れ!」とアクセルを床まで踏み込ませる司令塔です。しかし、どれほど優秀な司令官がいても、現場に電力がなければ作業員は動けません。

クレアチンの役割は、この「電力インフラ」の整備です。ミノキシジルのような爆発的な発毛命令は持っていませんが、命令が下ったときにエンジンを焼き付かせず、フルパワーで回転させるための「余裕」を生み出します。アクセル全開のミノキシジルと、高効率な燃料供給のクレアチン。この二者が揃ったとき、毛包のポテンシャルは最大化されるのです。

サバイバルモードを生き抜く戦略

興味深いことに、毛包の幹細胞は「乳酸」や「適度なストレス」という、ある種のサバイバル信号をきっかけに目を覚まします。「そろそろ本気を出さないとマズい」と細胞が判断したとき、そこに豊かなエネルギー供給(クレアチン)があれば、新しく生まれる髪はより太く、より強く育つでしょう。

結論:賢い選択

「クレアチンでハゲる」という古い亡霊を恐れる必要はありません。むしろ、激しいトレーニングやストレスでエネルギーを消耗している現代人にとって、クレアチンによるATPのバックアップは、髪を守るための「知的なディフェンス」であり、成長を支える「確かなアクセル」になり得るのです。

あなたの毛包という名の工場に、十分な電力を。髪の未来は、その一滴のエネルギーにかかっているのかもしれません。

 

ヘアラインの真実:表情と保護が交差する「動」の境界線

 

 

  1. なぜ植毛した生え際は不自然なのか

多くの教科書や一般的な植毛手術では、生え際ヘアラインを、男性では一直線かジグザグの線で、女性では丸い半円のような線を描こうとします。しかし、現実の人間において、そのような「図形的なライン」は存在しません。 他院での術後に感じる「言いようのない違和感」の正体は、そこに解剖学的な必然性が欠落しているからに他なりません。

アスクと他院の違い 男らしいデザインアスクと他院の違い 女性らしいデザイン

女性の丸刈り(引用元;Pintrest)

典型的な生え際
典型的な生え際

 

  1. 生存戦略としての「表現の窓」

動物学的な視点に立てば、ヘアラインの位置には明確な理由があります。人間を含む動物にとって、表情は生存に関わる極めて重要なコミュニケーションツールです。

  • 愛情の伝達: 相手に信頼や愛着を伝えるためには、顔の筋肉の動きが隠されてはいけません。
  • 争いの回避: 表情で威嚇し、無用な戦いを避けることもまた生存戦略です。 つまりヘアラインとは、脳を保護するために厚い毛が必要な「頭部」と、感情を露わにするために隠したくない「表情筋」との、合目的的な境界線なのです。

 

  1. 「動く部分」にこそ生え際の毛がある

解剖学的に見ると、ヘアラインのデザインは「動き」と密接に関係しています。

  • 静の部分: 帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)に覆われた、動きの少ないエリアには太く強い髪が生えています。
  • 動の部分: 表情筋(前頭筋など)が激しく動くエリアとの境界にこそ、いわゆる「生え際」が位置します。 動きのある皮膚の上に、動かない組織のような「密度の壁」を作ってしまえば、表情を作った瞬間に不自然さが露呈します。生え際のデザインには、この筋肉の走行と連動する「遊び」や「ゆらぎ」が不可欠なのです。

 

  1. 素材の必然性:なぜネイプヘア(襟足の毛)なのか

デザインが正しくても、素材選びを間違えれば台無しになります。よくある「普通の毛の中から細い1本毛を選んで植える」という手法には、生物学的な嘘があります。

  • 成長の真実: 普通の髪は、たとえ採取時に細くても、植えられた後に本来の設計図に従って太く成長してしまいます。
  • ネイプヘアの価値: 生え際に相応しいのは、一生細いままであり、毛周期の短い「成長しても細い短い毛」です。このネイプヘアを、筋肉の動きに合わせて配置して初めて、天然の生え際が持つ「透け感」と「柔らかさ」が再現されます。
  1. 模倣を超えた「知的なデザイン」へ

ここ数年、私の提唱してきた「自然なライン」を真似たようなデザインをみることがあります。しかし、筋肉の構造や毛質のポテンシャルを理解せず、ただ形だけを模倣しても、そこには不自然さが残ってしまいます。

植毛とは、限られた毛包資源をどこに配置して最大の効果を得るかという、高度に知的なパズルです。 患者様の希望を第一にしつつも、解剖学的な裏付けを持って「そこにその毛があるべき理由」を突き詰めること。それこそが、自然な生え際の再現となるはずです。

 

 

薄毛治療における成長のアクセルとブレーキ解除

さまざまな薄毛治療が市場に氾濫しています、メカニズムから考えた私の独断なガイドラインです。

薄毛治療法の比較ガイド

薄毛治療において、多くの人が「何を足せば生えるか(アクセル)」ばかりに目を向けがちです。
しかし、どれだけアクセルを踏んでも、強力なブレーキがかかったままでは車(髪)は前に進みません。
逆に、ブレーキを外すだけでは、経年劣化したエンジン(毛包)は力強く動き出しません。

重要なのは、「ブレーキの解除」と「アクセルの開放」両方が必要で、そして細胞のポテンシャルを再起動させる「エピジェネティックなリプログラミング」を組み合わせることです。

従来の治療が「ホルモンをブロックする」「成長因子、サイトカインを出す」という物理的・化学的なアプローチだったのに対し、最新の治療(MNC-QQやエクソソームなど)が狙うのは、細胞の「情報の書き換え(エピジェネティクス)」です。

加齢やダメージによって「眠ってしまった発毛スイッチ」を、miRNA(マイクロRNA)などの情報伝達物質を用いて再びONにする。これは単なる対症療法ではなく、毛包の若返り(リプログラミング)を目指す次世代の戦略と言えます。

 

 

具体的な手段

ブレーキ解除

アクセル開度

エピジェネティック効果

副作用・デメリット(代償)

 

フィナステリド

デュタステリド

★★★★★

 

 

性機能低下、肝機能障害、メンタルへの影響、PSA値のマスク。

ただしAGAのみ

 

ミノキシジル内服

★★★★★★★★★★

 

動悸、むくみ、心血管系への負担。

 

ミノキシジル外用

 

★★★

 

濃度より活性型か否かで差が出る、頭皮の炎症

 

エクソソーム

★★★

★★★★★

★★★

高額な費用。製品によるmiRNA**の含有量・品質のバラツキ。

 

幹細胞培養上清液

★★

★★★

 

高額な費用、製品のばらつき

 

PRP

★★

★★★

 

高額な費用、自己血液の状態に効果が左右される。

 

マイクロニードリング

フラクショナルレーザー

 

★★★

痛み、赤み(ダウンタイム)。感染リスク、

 

MNC-QQ療法**

★★★★

★★★★★★

★★★

高額な細胞加工費用。施設が限られる。

 

LLLT

 

★★

 

単独での効果を感じにくい

 

スピロノラクトン

 

 

利尿剤としての副作用高カリウム血症 AGAのみ

 

ニゾラールシャンプー

 

 

あくまで脂漏性湿疹の管理が主

 

このガイドラインから分かる通り、最強のアクセル(ミノキシジル内服)にはそれなりの代償(副作用)があり、高度なエピジェネティック治療(MNC-QQ等)には高額なコストが伴います。

自分の薄毛のタイプ、予算、そして許容できるリスクのバランスを考え、「どのブレーキを外し、どのアクセルを踏むか」という独自のポートフォリオを組むことが、遠回りのようでいて、最短のゴールへの道筋となります。

 

 

**miRNA(マイクロRNA): 細胞内でのタンパク質合成を調整する「指揮者」のような物質。これがエピジェネティックな変化の鍵を握る。

**MNC-QQ療法とは: 自身の血液から特定の細胞を取り出し、質と量を高めて(Quality & Quantity)から戻す、再生医療の進化形。

 

薄毛のレーザー治療とは

 

Q1:薄毛レーザー治療にフラクショナルレーザーと低出力レーザーとありますが、どういう違いがありますか?

Q2:薄毛のレーザー治療は効果ありますか?

A1:その作用機序を考えると全く別物です。そもそもフラクショナルレーザー(例えばフォリックスレーザ)はチクチクといたいですが低出力レーザーLLLTに痛みにはありません。

フラクショナルレーザーはマイクロニードルとも通じる方法で小さい傷をつけて、低酸素状態をつくり、これにより、この危機的状況を乗り切るためにサバイバルモードにはいります、つまり酸化的リン酸化から乳酸解糖でATPをつくるようになるのですが、ここでの乳酸蓄積がメッセンジャーとなってマクロファージなどから成長系のサイトカインを出させ(乳酸は、低酸素応答因子であるHIF-1αというタンパク質を安定化させます。HIF-1αが活性化すると、マクロファージは「ここは酸素が足りず、ピンチだ。早く組織を修復してインフラを整えなければ」と判断し、抗炎症・組織修復を担うM2型へと極性転換します。)また一方で毛包幹細胞を直接活性化して、休止期から覚醒することになり、これらが発毛のアクセルを踏むことになる

 

それに対してLLLTではミトコンドリア膜のCCOがNOによるATP産生制御がある状態で、光(650nm付近の赤色光)がCCO内のFeを励起して強制的にNOが外れると 酸素が結合できる状態となり酸化的リン酸化がすすみATPが増産されるその時に放出されるミトコンドリアからの微量ROSがメッセンジャーとなり細胞膜にあるPI3Kを動かすとAkt経路が起動する、 Aktの活性化は、GSK-3βの活性を抑制します。これによりβ-カテニンが安定化し、毛乳頭細胞における毛周期の成長期維持(Wnt経路の強化)に寄与し、結果成長のブレーキを排除してアクセルを踏み込むことになります。 

毛包のミトコンドリアにこの光が届く必要があります。通常のLEDでは光は拡散して到達に十分なエネルギーがでないため、買うときには直進性の高いレーザーダイオードLDを使っているものを選んでください。

 

 

A2:効果に関しては、原理的に効果が期待できますが、どちらも単独での劇的効果はないようです。既存の自毛植毛も含めた発毛治療の補助的に考えるのがいいでしょう。

最近はLLLTのデバイスが安価となっていますので、自宅で自毛植毛後だけでなく日頃の育毛にも使えると思います。

カテゴリ

価格帯(目安)

光源の構成

特徴と臨床的立ち位置

ハイエンド(医療級)

15万円〜40万円

LD 200〜300個以上

照射密度が極めて高く、短時間(6分程度)で完了。信頼性は高いが、患者負担も大。

ミドルレンジ(普及型)

6万円〜12万円

LD+LEDのハイブリッド

iRestore等が代表的。LDで芯を叩き、LEDで周辺の血流を補う。バランス型。

エントリー(中国製LD)

2万円〜4万円

LD 80〜120個程度

AliExpress等で流通。構造は単純だが、650nmのLDを搭載していれば物理効果は期待できる。

超安価(LEDのみ)

数千円〜1万円

LEDのみ

NG。 表皮で散乱し、毛乳頭まで届かないため、育毛効果は極めて疑わしい。

 

生え際こめかみは一本毛なのか ‐ 産毛に代わるネイプヘア

いまだなお世界中の植毛医は「生え際は一本毛」と得意気に言っていますが、これに科学的根拠はありません。実際生え際は徐々に「細く長くならない毛」になり最終的には産毛となっていくものです。また植毛医のなかには、通常のドナーエリアの産毛状の毛を取って植えると産毛が生えると主張する人もいますが、この毛は単に成長の途中にある毛であり成長すれば太くなり決して産毛になるわけではないです。

できるだけ自然さを求めるなら、植毛を考えるとき産毛の植毛はあまり現実的ではないですが、「細く長くならない毛」は植えたい。
その材料は決して一本毛などではなく、当院ではネイプヘアを利用しています。
ネイプとはうなじです。
うなじの毛は一本毛か二本毛かという本数の問題ではなく、細く長くならないと言う意味で生え際やこみかみを自然に仕上げるのに適した材料といえます。
難点はこの細い毛をダメージなく引き抜くのは難しく、そのため他院ではここは避けているわけですが、当院ではそれを積極的に使っています。これは毛の切断率が限りなく0にちかい当院の手法においてネイプヘアは有効な材料と言えます。

ネイプヘアの場所
ネイプヘアはうなじの細毛

 

**ちなみに、ネイプヘアはドナーの安全圏外であると主張する医者がいますが、安全圏という言葉を使うということは、薄毛の原因についての正しい診断ができないということ、AGAだけに限定すれば確かに安全圏があるかもしれないが、それ以外の原因では安全圏の概念があてはまらない、言い方をかえると、もし他の原因で30年もつ毛なら植毛の材料として使う価値がある。

毛包脂腺ユニットの再構築

毛包脂腺システム
立毛筋を含む毛包脂腺システム

毛穴に孔をあけて植毛の意味

毛穴に孔をあけてFUグラフトを移植した場合、既存の立毛筋への「再接続(Re-attachment)」が実際に起きるのか、そして何がその両者を惹きつけるのかという問いは、再生医学における 「組織のホーミング(自己誘導)」 の核心に触れるものです。

結論から申し上げますと、既存の毛穴(ソケット)を活用する場合、バルジと立毛筋は「運命的」とも言える力で再結合する可能性があります。その「引き合う力」の正体は、物理的な磁力のようなものではなく、「化学的走性(ケモタキシス)」と「物理的ガイド(コンタクト・ガイダンス)」の二段構えです。

  1. なぜ「既存の毛穴」なら再接続できるのか

全く新しい場所に穴を開けて植えるのと、既存のソケットを使うのとでは、スタートラインが全く違います。

  • 残存するスキャフォールド(足場): 毛穴がミニチュア化していても、かつて立毛筋が付着していた場所には、コラーゲンやラミニンといった 「細胞外マトリックス(ECM)の痕跡」 がトンネル状に残っています。
  • 「ゴースト・インフラ」の利用: 立毛筋側にも、かつてバルジを掴んでいた「受容体」の残骸が残っており、新しいグラフトが挿入されると、それが「かつての主」が戻ってきたことを感知するレシーバーとして機能します。
  1. 引き合う力の正体:3つの「バイオ・引力」

バルジ(幹細胞)と立毛筋(APM)が引き合い、再び手を繋ぐための力は、以下の3つのメカニズムで説明されます。

① 化学的走性:ケモタキシス(情報の香り)

移植されたバルジ領域の細胞は、周囲に 「ここにいるぞ」という分子のビーコン を放ちます。

  • SDF-1(基質細胞由来因子1)や各種成長因子: これらがグラフトから漏れ出すと、立毛筋の断片や周囲の平滑筋前駆細胞がその濃度勾配を察知します。筋肉側がこの「情報の香り」を追いかけて、バルジの方へ突起を伸ばす力が働きます。

② 向性:トロフィズム(栄養への渇望)

  • NGF(神経成長因子)の共用: 以前議論した通り、立毛筋と交感神経はセットです。バルジが放出するNGFは、神経だけでなく、神経をガイドにしている立毛筋をも強力に引き寄せます。いわば、 「神経というリードに引かれて、筋肉がバルジにドッキングする」 という構図です。

③ 物理的ガイド:コンタクト・ガイダンス(レールの誘導)

  • インテグリンとカドヘリン(細胞接着分子): 細胞の表面には「マジックテープ」のような接着分子があります。バルジの表面にある特定のインテグリンが、既存の毛穴に残されたECM(足場)とカチッと噛み合うと、そのままレールを滑るようにして、立毛筋の付着点(インサーション)へと誘導されます。これを 「接触誘導(コンタクト・ガイダンス)」 と呼びます。

結論:再接続は「細胞の意思」による必然

「一生現役の髪」を育てる鍵:毛立筋との「再会」メカニズム

「バルジと立毛筋が引き合う力」とは、生命が数十億年かけて磨き上げた 「失われたパートナーを探し出し、再結合するアルゴリズム」 そのものです。

iSAFEは、外科的技術によってその「再会」のための物理的なお膳立て(ソケット活用と低侵襲採取)を行い、今またmiRNAやマクロファージの知見によって、その「通信環境」を整えようとされている。

「ハードを整え(iSAFE)、ソフトを再接続し(miRNA)、ノイズを消す(M2極性転換)。」

この3点が揃えば、既存の立毛筋との再接続は、単なる理想ではなく、再現性の高い臨床的な事実として定着すると考えています。

毛包脂腺ユニットにおける立毛筋の重要性 立毛筋のない毛包脂腺ユニットは長生きできない可能性がある。

立毛筋の重要性
立毛筋の消失したユニットは脂肪化する

1. 「自律神経の避雷針」としての喪失
2020年のハーバード大学の研究が示したのは、 「立毛筋がなければ、交感神経はバルジのそばに留まれない」 という事実です。
供給源の断絶: 交感神経は立毛筋をガイド(足場)にしてバルジ領域まで伸びてきます。筋肉が消失すると、神経もそこから後退してしまいます。
メンテナンスモードの終了: 神経から放出されるノルアドレナリンは、幹細胞を「いつでも動ける状態」に維持するメンテナンス信号です。この通信が途絶えると、バルジ内の細胞はエピジェネティックな「休眠(ヘテロクロマチン化)」が深まり、数年〜数十年単位で徐々に細胞死、あるいは脂肪への置き換えが進行します。

2. メカノバイオロジー(物理刺激)の不在
細胞は「物理的な力」を受けていないと、自分の役割を忘れてしまう性質があります。
テンションによる活性: 立毛筋が不定期に収縮し、バルジを物理的に引っ張ることで、細胞核内のクロマチン構造が「読み取りやすい形」に保たれます。
廃用性萎縮: 筋肉がない毛包は、重力や周囲の組織圧に負けるだけの存在になります。物理刺激を失ったバルジ領域は、ニッチ(住処)としての構造を維持できなくなり、やがて「毛を作る場所」としてのアイデンティティを捨てて、周囲と同じ脂肪組織へと同化してしまいます。これが「ミニチュア化の終着点」です。

 

今日AIからきいたこと

卵巣嚢腫やテラトーマとかきいたことありますか、卵巣や精巣などで作られる腫瘍ですが、この中には、髪や骨や歯など分化した組織があり、なんと、その髪の組織は立毛筋を含む毛包脂腺ユニットだそうです。

薄毛治療MNC-QQ療法とは

順天堂大学田中里佳教授が研究されているMNC-QQ療法(自己末梢血単核球生体外培養増幅法)ですね。採血した血液を遠心分離にかけ、そこから単核球を取り出し、それを特殊な条件で培養することで、細胞数を増やしつつ、強力な血管再生能力と抗炎症作用を持つM2型マクロファージ(再生アソシエイト細胞)へと機能を変化・強化させ、 この「強化されたM2マクロファージ部隊」そのものか、その培養時に作られる上清液(主体はエクソソーム)を患部に注射するというものです。一見PRPに似ていますが、この単核球を教育してM2マクロファージの精鋭部隊を編成しそれ使う点に違いがあり、これが効果を劇的に向上させ安定した結果が得られるというわけです。

 

M2マクロファージは微小炎症で成長のブレーキがかかった状態を、M2マクロファージからの抗炎症サイトカインでブレーキを排除して、成長因子でアクセルを踏むことでさまざまな薄毛に効果が出ると考えられます。素晴らしい技法ですが、培養という部分で一般クリニックでは取りいれにくく、現在は田中教授のリカルナクリニックで行われています。

発毛をさらに促進するには、アクセルの強化とブレーキの排除は必要かもしれません。アクセルの強化として有望なのはMPCブロックによる毛包ニッチのサバイバルモードを利用したもの(現状PP405が有力)があります。ブレーキ特にDHTによるブレーキにはARでの拮抗薬クラスコテロンが有望と考えられれます。これらの薬剤は生体に対する作用は激しいため安全に使えるためにはアンテドラッグ化は必須です。
近い将来これらの組み合わせた、副作用の少ない治療法が出てくるでしょう。


薄毛治療MNC-QQ療法とその未来

 

AGAの治療薬フィナステリドは何歳からつかえますか?

25歳までは控えたほうがいいかもしれません、

理由は生体におけるDHT減少に対する防衛ラインが完成するのは25歳程度だからです

  • 構造の固定: 陰茎海綿体や前立腺などの組織が物理的に完成し、多少のDHT変動(抑制)に対しても構造的なダメージを受けにくくなる。
  • HPG 軸の安定: 視床下部・下垂体・性腺というホルモンのフィードバックループが成熟し、外部からの介入に対して「復元力」を持つようになる。
  • 脳の完成: 前頭前皮質(理性的判断や情緒の制御)の配線が完了し、神経ステロイドの変動によるメンタルへの悪影響を最小限に抑えられる。

 

 

ではそれまで放置していたら

放置のリスク:エピジェネティックな「詰み」

「薄くなっても後で薬を飲めば戻るだろう」という楽観論が通用しないのが、AGAの恐ろしい点です。

  • ミニチュア化の不可逆性: DHTの暴露が続くと、毛包周囲の微小環境で線維化が進みます。毛乳頭細胞におけるDNAメチル化などのエピジェネティックな変化が進むと、たとえ後からDHTをゼロにしても、毛包が「太い髪を作る能力」を物理的に喪失(消失)してしまいます。
  • 幹細胞の枯渇: 繰り返される早期の退行期によって、毛包幹細胞が使い果たされてしまうと、現代医学では再生不可能です。

悩ましいですね、それでは25歳までの代替療法はあるのか

AGA治療薬フィナステリドは何歳から?

 

この5αR-DHT-ARから始まる不可逆なエピジェネティック修飾をどこでどう止めるかとなりますが

外用薬は全身性作用が少ないため、一番の候補となりますが、Drug Delivery SystemとAnteDrug化が重要になります。

  • 外用フィナステリド:  全く効かないわけではありません

  • クラスコテロン外用、ピリルタミド外用:ARにおいてDHTと競合して結合するが、ARコンプレックスの核移行もなく、沈黙した状態となる      全身性作用がほとんどなく、現在最も期待できる代替薬と考えられます。

  • スピロノラクトン外用;全く効かないわけではない

  • ミノキシジル外用、ケトコナゾール:  一部AR感受性抑制効果があるらしい

  • PRP, エクソソーム、 : 多少改善がみられるが実際これらがエピジェネチックな修飾を止められるかはわからない