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睡眠と薄毛

「睡眠と薄毛」についての雑誌の取材がありました。記事は少し違ったものになるようですが、取材時の質疑応答です。

1)頭皮や髪の状態は加齢によりどのように変化していくのでしょうか?
特に、50代からの男性の状態について教えてください。

加齢とは、一種のアポトーシス、すなわちプログラムされた自己破壊的自然死です。つまり、「作り出したり」、「修復したり」が減少して「吸収・消失」が勝っている状態と言えます。したがってその本質の一つは成長ホルモンにあります。実際成長ホルモンが減少すれば、骨密度が低下したりのような組織における実際的な吸収/消失以外でも、代謝は低下し、自律神経は機能低下し、免疫機能も低下します。頭皮環境でもいくつかの成長促進因子は低下し反対に成長抑制因子は増えたりして皮膚のターンオーバーやヘアサイクルの異常がおこります。それに伴ってみられる症状の一つに薄毛があるわけです。もちろん、皮脂が浮いたり、逆にカサカサになったりもしやすいかもしれません。このような老化現象は25歳過ぎから徐々に起こり45歳過ぎると加速度がつきます。

2)睡眠が不足することで頭皮環境や髪の状態に影響があれば教えてください。

成長ホルモンが主として睡眠時に分泌されるため、睡眠不足では、それが少なくなり、また自律神経も過敏になって、さらには疲労物質やストレス物質が十分に取り除けていない状態です。成長ホルモンの減少は成長促進因子の減少、免疫機能の低下ですし、自律神経や疲労ストレス物質は成長抑制因子を増やすため、頭皮環境は悪く髪が成長し続けにくくなっています。

3)睡眠と薄毛に関連があれば教えてください。
(つまり睡眠が不足することで、薄毛が促進されるなど)

睡眠が不足した状態では先ほどお話ししましたように頭皮の環境は悪くなりがちで、代表的な薄毛の直接的原因である、男性ホルモンの感受性が高い男性型脱毛症AGAや、自律神経が過敏なためにおこる慢性休止期脱毛症CTE、あるいは毛の生産性の低下でおこる老人性脱毛では、その進行が加速されることになります。

4)薄毛に役立つ睡眠の取り方はあるのでしょうか?

薄毛に影響する成長ホルモンの分泌に関しては、睡眠を取れば確かに成長ホルモンが分泌は増加しますが、その前に体内時計に関係したメラトニンというホルモンの上昇があったほうがより多くの成長ホルモンが分泌され、メラトニンの分泌にはさらには朝目覚めときに太陽の光をみることでリセットされそれに伴って増えるセロトニンというホルモンの上昇が必要です。そう考えると、やはり睡眠時間だけなく、夜寝て朝起きることがよりいいと言えます。

5)頭皮や髪にとって、寝る前にしたほうがいいこと、起きてからしたほうがいいことを教えてください。(薄毛予防になるようなことがあればぜひ!)また、やってはいけないことがあれば教えてください。

要は、成長ホルモンが増える状態を作るのが良いわけですから、寝る4~5時間前に適度な運動とその後の風呂での洗髪で清潔を保ち、朝目覚めたら、カーテンをあけ朝の光を浴びるようにするのがいいでしょう。
また、成長ホルモンや成長促進因子の分泌は、高インスリンで抑制され、ストレスホルモンでも抑制されますので、夜更かしして夜食をとるのは好ましいとは言えないですね。