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子作りとプロペシア

フィナステリドもデュタステリドも、わずか数ヶ月の連用でもDNAダメージを持つ精子の確率が増加することが最近の研究で判っています。そのようなことは喫煙などでも起こることであり、あまり深刻な問題となることはないのかもしれません。それは実際受精して出産に至るのは正常な精子のことがほとんどであり、DNAダメージを持つ精子は大抵は受精できず、まれに受精しても流産を起こしてしまうからでしょう。それでも出産にまで至れば異常を持ったまま生まれると考えられるのです。また皮膚や精液を介しての吸収程度の濃度で胎児奇形や妊娠異常を起こすことは考えにくく、また実際起こしたという報告もありません。さらに、授乳においても母乳への移行も問題となる濃度ではない(このようなことは喫煙でも同じようなことが言えます)。とはいえ、子供を作る予定のあるときには、事前に服用を中止し、妊娠がわかってから服用を再開するときも、コンドームを3ヶ月目程度までは使用し、さらに他の者の手に触れないよう管理するぐらいの用心があった方が良いのかと思います。(たとえば、不運にも他の原因で何らかの異常が起きたとき、このことが原因だったのではないかと、将来にわたって苛まれることにもなりかねない)万全な状態なんて難しいにしても、心の平安のためにも、用心に越したことはないということです。
薄毛の治療における5ARI(フィナステリドやデュタステリドなど)に対しても、妊娠出産などへの影響がないもので、ある程度は代替できうる成長因子を用いた方法もある訳ですから。

 

 

プロペシアと更年期障害

もちろん、アンドロゲン受容体ARのリガンドとなるのはDHTだけではないですが、多くはこのDHTによるものであるため、やはり、慢性的な男性ホルモン作用不足すなわち男性型更年期障害がおこることは明らかです。更年期障害は、男女限らず顕著に症状が現れる人もいますが、あまり問題とならないことも多い。しかし、このように少なからず副作用(多くは定量化しづらい)をもつ薬剤の長期連用においては、常にリスクベネフィット評価(QOLも含めて)を行いながら使用すべきと考えます。

時折、AGAでもない脱毛症にもこのフィナステリドが処方されているの見かけますが、これは最も注意すべきことであり、ついでは、この更年期障害の状況を把握しながら使用されるべきと言うことです。

参1)男性ホルモンの作用
男性ホルモンのなかでも、もっとも分泌量が多く、作用も強いのがテストステロンです。 テストステロンは、睾丸の間質細胞の中で、原料であるコレステロールからつくられます。
血液に入ったテストステロンは、末端の標的となる細胞に取り込まれ、そこで5α‐リダクターゼという酵素のはたらきによってジヒドロテストステロンDHTになります。 DHTがリガンドとなり、アンドロゲン受容体ARと結合すると、細胞の核内に入ることができるようになります。核内には遺伝子があり、いろいろなたんぱく質をつくる指令が出ていますが、この遺伝子にはたらきかけて、男性ホルモンとしての作用を発揮するのです。

参2)男性型更年期障害の症状
体調的症状
性的能力の衰え早朝勃起の回数の減少疲労感不眠症状、筋肉痛がとれない、肩こり、頻尿、ほてり、のぼせ、腰や手足の冷え、汗をかきやすい、
精神的症状
性欲の低下うつ症状、仕事がつらい、集中力が続かない、やる気が出ない、毎日が楽しくない、イライラする

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